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【とちぎ こころの健康便】

子どもへの虐待防ぐには 周囲を頼り、心に余裕を

 子どもが親から虐待されたというニュースが後を絶ちません。尊い小さな命が失われる最悪のケースも起きています。思い通りにはいかない子育ての中で、ときに子どもに強く当たってしまった人はいるかもしれません。しかし、本来は愛情を注ぐべきはずのわが子を虐待するというむごい仕打ちは、多くの親にとって理解しがたいものがあります。親が子どもを虐待してしまう心理とは何なのでしょうか。悲しい事件を少しでも減らすための手だてはないのでしょうか。水島先生に聞きました。

 経済レベルが一定以下だと虐待が起こりやすい、というデータがありますが、経済レベルのみならず、何らかの理由で親に余裕がなくなると虐待が発生するという印象を私は持っています。中には、「完璧な親」を目指して余裕がなくなってしまい、結果として子どもを虐待する、などという逆説的なことも起こってしまいます。

 予定していなかった妊娠で生まれた子どもも、余裕ある子育てを難しくしますし、子どもについての経験がほとんどないと、どう接したらよいかわからず虐待してしまう、ということもあります。

 虐待した親がよく「しつけのつもりでやった」と言いますが、虐待としつけの間には明確な違いがあります。子どもに人生の知恵を与えて子どもなりの価値観や礼儀作法をつくっていくのがしつけです。つまり、主役は子どもなのです。

 一方、親が自分の機嫌を基準に子どもに当たるのが虐待です。この場合、主役は親、ということになります。

 親の孤立も虐待と関係します。子育ては決して楽なものではありません。特に子ども慣れしていない人にとっては、「親の自分が憎くて泣きやまないのか」とすら感じられることもあり、報復的に虐待してしまう、ということもあるのです。

 ですから、解決の一つのキーワードは、周囲からのサポート。地域が機能しているところでは、それは自然とできてくる場合もあります。

 そうでない土地では、保育園や一時預かりの活用をして、余裕を取り戻し、子どもをいとおしいと思う気持ちを持ちなおせるとよいですね。

 「余裕がなくて虐待してしまいそう」と思ったら、児童相談所などに相談してみると、道が開けると思います。(精神科医・水島広子)

 

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