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【とちぎ こころの健康便】

大災害への「心の準備」 衝撃の反応知っておこう

 大災害が相次いでいます。六月は大阪府北部地震、七月は西日本豪雨で、各地に甚大な被害が出ました。昔から「天災は忘れたころにやって来る」と言われます。普段から、しっかりと万一に備えている人も多いでしょう。しかし、現実に大切な人や家を失うことまでは、なかなか想像できないのではないでしょうか。考えたくはありませんが、自分が大災害に遭い、最悪の状況になった場合に備えて、普段からできる「心の準備」のようなものはあるでしょうか。水島先生に聞きました。

 災害に向けての「心の準備」は、一言で言えば「人間の心に何が起こるかを知っておくこと」と「何が力になるかを知っておくこと」だと思います。

 ひどい災害に遭うと、人間の心はひどい衝撃を受け、ストレス反応が起こります。

 出来事が繰り返し思い出されたり、ちょっとした刺激で「また起こるのではないか」と怖くなったり、悪夢を見たりします。

 また、あまりの怖さに心がまひしたような、真っ白になったような状態になります。怖いことに向き合わないために、何かを避けたり、アルコールに依存したりする人もいます。

 また「もしまた起こったら」とピリピリするため、眠れず、怒りやすくなったり、驚きやすくなったりします。

 これらの反応は、衝撃を受けた後には多くの人に見られます。まず、これらの反応が起こったときに「ああ、これが衝撃後のストレス反応なんだ」と思うことができると、少しコントロール感覚を取り戻すことができます。実際「これからどうなるかわからない」「さらに悪くなるのではないか」など、事態をコントロールできないところに恐怖があるのです。そんな中、自分に何が起こっているのかを知るだけでも、少し落ち着きます。

 誰にでも起こるストレス反応から、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの病気へと移行するかどうかを最も大きく決めるのが、実は「身近な人からのサポートがあるかどうか」です。「どれほどひどい目に遭ったか」よりもそちらの方が重要だというのは注目に値します。

 「こんなにひどい体験をしたからもうだめだ」と絶望的になるのも仕方ありませんが、結局は人間関係なのだな、と日頃から知っておくと力になると思います。(精神科医・水島広子)

 

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