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【知られざる世界ランカー】

エアロビック 斉藤瑞己・北爪凜々・金井拓海 五輪種目へ使命感

世界選手権で準優勝したトリオ(左から)斉藤瑞己、北爪凜々、金井拓海=群馬県太田市で

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 企業城下町として発展を遂げた群馬県太田市。人口22万人のこのまちに根を下ろし、世界に発信しているスポーツがある。エアロビック。斉藤瑞己(20)、北爪凜々(18)、金井拓海(20)。太田市で生まれ育った3選手は、幼少期から地元のSKJエアロビックアスリートクラブで腕を磨き、世界の頂を見据える。

 エアロビックはアップテンポの曲に合わせ、軽快なステップとエレメントと呼ばれる体操技を連動させるハードな採点競技。1分半の演技時間で、技の難易度や正確さ、芸術性を競う。

 男子シングルで国内無敵の斉藤は、6月の世界選手権(韓国)で日本男子史上初の優勝に輝いた。シニア(17歳以上)参戦後、国際大会「スズキワールドカップ」を2度制しているが、世界選手権は前回7位からの初戴冠だ。

 躍動感あふれる演技は、体操技のトーマスフレア(開脚旋回)など難度の高い技を随所に盛り込む。念願の世界一を「夢がかない、最高にうれしかった」と振り返るが、ルール改定が行われる来年に向けて「また一からのスタート。皆、横一線」と気を引き締める。

 一方、国内女王の北爪は世界選手権の女子シングルは9位と惨敗。前哨戦となった4月のスズキワールドカップでシニア初参戦ながら準優勝。跳躍力を生かしたしなやかな演技は世界一も期待させた。しかし片足を上げて3回転する冒頭の大技、バランスターンに失敗。

 「人生で一番悔しい経験。メンタルの弱さが出てしまった。世界選手権で優勝することが一番の目標」と雪辱を誓う。

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 斉藤と北爪。男女の日本のエースを擁するSKJは、組みものでも他の追随を許さない。

 ミックスペア(金井、北爪)とトリオ(金井、斉藤、北爪)も、全日本選手権で2年連続優勝。世界選手権では、トリオ準優勝、ミックスペア4位と健闘し、来年7月のワールドゲームズ(ポーランド)の出場権を獲得した。

男子シングル 世界王者の斉藤

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 協調性に優れ、172センチと上背のある金井がチームを引っ張る。もともとシングルでも斉藤に次いで全日本選手権2年連続2位の実力者だ。特に北爪とのペアは、高さのあるリフトが売り。金井は「ワールドゲームズは第2のオリンピック。五輪正式種目を目指す意味でも、絶対にメダルを取りたい」と意気込む。

 またトリオで「男子の足を引っ張らないようにしたい」と謙遜する北爪だが、スピード、技のキレと、その力強い演技は金井、斉藤と遜色がない。

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 3人は小学1年から本格的に競技を始めた。コーチでもあるSKJの杉原良依代表は「(北爪)凜々は当時から表現力が豊かな子。(斉藤)瑞己は集中力があったし、(金井)拓海は考えながらコツコツと練習した」と振り返る。世界一を目標に掲げ努力を続けた3人は、中学生になると、スズキワールドカップなど国際大会のユース部門で優勝するまでに力を付けた。

 「私の役目は練習環境を整え、3人を(シニアの)世界チャンピオンにすること。そこだけは一貫してぶれずにやってます」と杉原代表。練習場の確保や、遠征費の工面など「選手第一」に徹する。

 近年、エアロビックの認知度は上がってきたものの、それでも有酸素運動のエアロビクスと混同している人はまだまだ多いという。杉原代表は「エアロビックは体操種目の位置付け。大切なことは、体操選手が見てもきれいと思う“作品”をつくりあげることです」。 (牧田幸夫)

<エアロビック> 日本エアロビック連盟(JAF)によると、起源は米国のケネス・H・クーパー博士が1967年に提唱した運動処方理論「エアロビクス」。その後に派生したエアロビック・ダンスやエクササイズがスポーツとして発展した。日本では84年に初の競技会「ドールカップ全日本エアロビック選手権大会」が開かれた。現在、世界約80カ国・地域で行われている。国内の競技人口は約1600人。

<かない・たくみ> 今年のスズキワールドカップ、世界選手権ともにトリオ準優勝。全日本選手権は、2年連続ミックスペアとトリオで優勝した。172センチ、64キロ。大東文化大経営学部2年。20歳。

<きたづめ・りり> 全日本選手権のシングルはシニア参戦から2連覇(ユース時代を含めると7連覇)中。ミックスペア、トリオを含め、2年連続シニア3部門制覇。157センチ、45キロ。太田市行政管理公社職員。18歳。

<さいとう・みずき> ユース時代からトップ選手として活躍。全日本選手権のシングルはシニア4連覇中。今年6月の世界選手権で日本男子初の金メダルを獲得した。160センチ、55キロ。群馬大教育学部2年。20歳。

女子シングルで世界一を目指す北爪

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世界選手権4位のミックスペア(金井、北爪)

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