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スポーツのしおり

(4)勝機をつかめ 妙手は「棋」にあり

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 テニスというのは不思議な競技である。サーブはときに時速200キロを超え、前後左右にダッシュ&ストップを繰り返す。それほど過酷なスポーツだというのに、なぜか静けさを感じる瞬間がある。サーブを打つ。打ち返す。ゲーム特有のリズムがそう感じさせるのかもしれない。

 ゲームと言えば、テニスは将棋と共通点が多いと言われる。将棋の羽生善治名人は著書「決断力」で「サービスゲームを交互にやったり、一人で流れを変える努力をするところはすごく似ている」と記す。言われてみれば、同じ対面競技。コートの静けさは盤上と同質のものだったか。

 さて、テニスの錦織圭選手(25)はバルセロナ・オープンに勝ち、日本人最多のツアー9勝目を挙げた。そうなると期待が膨らむのは、24日からの全仏オープン。ビッグタイトルの難易度は桁違いだろうが、ここで足を止めるわけにはいかないはずだ。

 これまで四大大会のシングルスで優勝した日本人はいない。殻を破り、自分を超えるにはどうしたらいいのか。失礼を承知でいうならば、将棋にヒントを見つけてみてはどうだろう。羽生さんは将棋を「駒を通しての会話である」と捉える。長く続くラリー。読み合いや駆け引きもコミュニケーションだと楽しむ。そんな競技の原点に戻ることができれば、道は開けるのかもしれない。

 「棋は対話なり」という格言が将棋界にはあるそうだ。耳を澄ませ、相手の声を素直に聞くことが、勝機をつかむ一手につながるということか。妙手は棋にあり、棋は対話なり。成長の手掛かりはコートの外でも見つけられる。

 写真・共同 文・谷野哲郎 デザイン・高橋達郎

 

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