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スポーツのしおり

(5)「ゆっくり行くものは遠くまで行く」 やがて咲く「なでしこ」たちへ

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 「秒速5センチメートル」というアニメーションがある。個性的なタイトルは、桜の花びらが地面に落ちる速さに由来する。息をのむほど美しい映像と切ない物語は、スポーツとはあまり関係がないが、この映画を見直して、ふと彼女たちのことを思い出した。

 サッカー女子のワールドカップ(W杯)カナダ大会で、「なでしこジャパン」は連覇を狙う。代表に選ばれた23人の活躍は今から楽しみだが、夢に届かなかった選手もいる。

 浦和の猶本光選手は故障がちで、調子が安定しなかったこともあり、選考から漏れた。日テレの田中美南選手、ノジマの田中陽子選手も、佐々木監督の目に留まるような結果を残すことができなかった。

 彼女たちは3年前に日本で開かれたU―20(20歳以下)女子W杯の日本代表で「ヤングなでしこ」と呼ばれた黄金世代。銅メダルを獲得し、将来を嘱望されながら、今回は一人も選ばれなかった。

 願いがかなう人がいる一方で、そうでない人もいる。それが現実だ。努力しても思うような結果が出ない。毎日同じことの繰り返し。憧れの背は遠く、とても追いつくことができないように思える。だけど、大切なことは、目指すべき場所を見失わないことではないのか。速さを競うことだけが人生ではないはずだ。

 秒速5センチメートルとは、何とゆっくりした速度だろう。しかし、欧州にはこんな格言がある。「ゆっくり行くものは、遠くまで行く」。走り疲れたとき、何かをあきらめてしまいそうなとき、思い出してもらいたい言葉である。

 文・谷野哲郎/デザイン/イラスト・高橋達郎

 

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