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スポーツのしおり

(7)「ウォーターボーイの挑戦」 水面に男。舞う

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 初めての挑戦には不安がつきまとう。しかし、安部篤史さん(32)=トゥリトネス水泳部=は「全てが新鮮」と前向きにとらえる。ロシアで始まった水泳の世界選手権。安部さんは日本初のシンクロナイズドスイミング男子代表として、新種目の混合デュエットに出場する。

 学生時代に見た映画「ウォーターボーイズ」に憧れ、シンクロの世界に飛び込んだ。これまでは水中パフォーマーとして、ショーを中心に活動してきたが、昨年11月、男女平等を目指す国際水泳連盟が混合デュエットを正式採用。巡ってきた好機を逃さず、代表の座を勝ち取った。

 映画で知られるようになったとはいえ、シンクロはまだまだ女子の世界。男子が挑むには苦労が絶えない。男の更衣室がなく、会場の医務室で着替えたこともある。化粧も初心者。ペアを組む足立夢実さん(26)=国士舘シンクロクラブ=や化粧品会社に教わりながら模索する日々だ。

 ダイナミックに、かつ細心に。この競技は、相反する二つの要素を同時に表現しなければいけない。一日10時間以上練習しても、納得のいく演技はなかなかできないという。指の先の動き、水しぶきの高さ。「シンクロは点数競技。でも、だからこそ、見ている人を感動させたい」

 男子がシンクロをするなんて。そう後ろ指を指す人もいるが、笑わば笑え。時代の先頭に立つ者は嘲笑に耐えて道を切り開く。混合デュエットはリオ五輪では競技外だが、5年後の東京五輪では正式種目になる可能性がある。「正解をつくっていかなければという思いはあります」。追い求めるのは未来の形。水面に舞う男の姿が美しい。

文・谷野哲郎 写真・武藤健一 デザイン・高橋達郎

 

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