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スポーツのしおり

(16)「ライバル」 互いに、高める

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 互いを高め合う関係を、人は「ライバル」と呼ぶ。あの人には負けられない。負けたくない。決して口にはしなくても、それぞれの存在が互いを磨く。28日から始まるバレーボール男子のリオデジャネイロ五輪世界最終予選。日本代表に切磋琢磨(せっさたくま)しあう若手がいる。

 20歳の石川祐希(中大)と23歳の柳田将洋(サントリー)。ともに日本の将来を担う逸材と言われる。どちらも五輪予選は初めてでポジションはウイングスパイカー。主にサイドからジャンプアタックをして点を取る攻撃の要だ。

 最高到達点3メートル45センチと、打点が高くスパイクを自由に打ち分ける石川に対し、柳田はビッグサーブと強打に優れる。高さとパワー。それぞれ違う個性で戦うのはプライドの証しか。お互いについて多くを語ることはないが、「すべて自分らしくやっていきたい」。柳田の言葉に秘めた闘志が浮かび上がる。

 スポーツでは個のぶつかりあいが信じられない力を生むことがある。1972年のミュンヘン五輪。バレーボール日本男子は大古(おおこ)誠司、森田淳悟、横田忠義ら20代が競い合うように活躍し、金メダルを獲得した。「対抗心」「競争心」は劇的な化学変化を人や組織にもたらす。

 誰にだって、負けたくない人の一人くらいいるだろう。その背中から目をそらさないこと。自分にうそをつかないことが、人を飛躍させる。普通にできることを普通通りにやっていても成長はない。あえて張り合うことも必要なはずだ。

 苦しい戦いが予想される今予選。強敵をねじ伏せ、結果を手にするには、新しい爆発力が欠かせない。存在を主張し続けろ。バレーは常に上を向くスポーツだ。「どうすれば1点を取れるのか、勝てるのかを考えたい」と石川は胸に手を当てる。若き才能の跳躍が待ち焦がれる。

 文・谷野哲郎/写真・七森祐也/デザイン・高橋達郎

 

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