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スポーツのしおり

(20)幕が上がる 「熱く、こころ熱く」

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 緞帳(どんちょう)が上がる前の高揚感に満ちあふれていた。22日に開幕する男子プロバスケットボール「Bリーグ」。栃木ブレックスの田臥勇太は「待ちに待った瞬間。僕たちの熱を感じてほしい。バスケに向かう姿勢、熱さを見てもらいたい」とうれしそうに話した。

 日本のバスケ界で田臥を知らない者はいない。身長173センチと小柄な体ながら、能代工時代に史上初の9冠を達成。漫画「スラムダンク」にも大きな影響を与えた。2004年には米プロバスケットボール(NBA)のサンズと契約。日本人で唯一、NBAでプレーした伝説の選手だ。

 35歳になった田臥は今、栃木に所属し、新たな挑戦に胸を躍らせている。国内バスケは障害を乗り越え、ナショナルリーグとTKbjリーグが一つに統合。今年から「Bリーグ」として生まれ変わった。「今までバスケがここまで注目されたことはなかった。初代王者を目指し、気持ちをコートで表現したい」

 サッカーはJリーグが発足し、文化として根付き、ワールドカップに出場できるまでになった。Bリーグはどうか。同じように多くのファンを獲得し、人気を定着させるのは、並大抵の努力ではないはずだ。

 だが、田臥はどこまでも前を向く。「僕は『ネバー・トゥー・レイト』という言葉が好きで。人生いいときもあれば、悪いときもある。失敗してネガティブになるときでも、次に向かっていければいい」

 点を取られても落ち込んでいる暇はない。勝利のため、仲間のため、顔を上げてゴールに向かう。それがバスケだ。失敗を恐れるな。行動するのに遅すぎるということはない。何万回も挫折を経験したであろう男の熱が伝わってきた。まもなく、始まりを告げるブザーが鳴る。幕が上がる。

 文・谷野哲郎/写真・隈崎稔樹/デザイン・高橋達郎

 

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