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スポーツのしおり

(21)道を束ねる 「速」

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 速さとは何なのだろうか。分かるようで分からない抽象的な概念を、プロとして追求している人たちに出会った。三重県・鈴鹿サーキットで行われた今年のF1日本グランプリ(GP)。フリー走行に答えのヒントを見つけた。

 F1レースは3日間で行われる。決勝ばかりが注目されがちだが、実は初日のフリー走行での準備が勝敗を大きく左右する。限られた時間で車を走らせ、コースや路面、気象条件に合わせて細かな修正を行う。セッティングに全力を尽くすクルー、何度もピットインを繰り返す車。触れたら切れるような緊張感が伝わってきた。

 エンジニアにメカニック、タイヤ交換手に通信技師。レースには多くの人がかかわる。そして彼らの仕事は最後にドライバーに集約される。最高時速は約360キロ。ときに自らの体重の何倍もの重力がかかる過酷さにも泣き言を言わないのは、チームの意思を託されているから。華やかな舞台の陰に、地道に糸を紡いでいくような形の努力があることを知った。

 「速」という字は、道などを意味するしんにょうに束ねると書く。道路というフィールドで、それぞれが最上の仕事を集めて競うF1レースに、これほど当てはまる言葉はないと思う。

 それでも、結果は簡単に出るものではない。例えば、復帰2年目のホンダは鈴鹿でアロンソが16位、バトンが18位に終わった。優勝したメルセデスとの差は歴然。挑戦はいまだ道半ばだが、アロンソは「僕らのチームはいい仕事をする。最大限に力を尽くす」と胸を張る。速さ=チームワークの公式は、モータースポーツの奥深さでもある。

 文・谷野哲郎/写真・七森祐也/デザイン・高橋達郎

 

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