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スポーツのしおり

(24)「孤独の勧め」 自分と向き合う時間

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 ふとしたときの表情に、何げない行動に、その人の内面がうかがえるときがある。今月初め、千葉県鎌ケ谷市で行われたプロ野球・日本ハムの大谷翔平(22)の自主トレを見た。ああ、この人はこうやって自分を鍛えるのかと驚かされた。

 野球選手はこの時期、キャンプに備えて体をつくる。自主トレと呼ばれる練習は仲間と一緒に和気あいあいと行う人もいるが、独りでじっくり取り組む人もいる。大谷は後者。「なるべく静かに、一人でやりたい」。打撃練習や投球フォームの確認といった基本を黙々とこなす。

 彼の自主トレは徹底的に自分のペースで行われる。腕の上げ方はどうか。体の回転はこれでいいのか。一つ一つの動作を確かめながら、咀嚼(そしゃく)しながら。「球を拾うときもそうですが、そのとき試してみたことを整理しながら」。自らに問い掛ける表情がどこまでもストイックだ。

 意外にも大谷はプロ最速の165キロを出し、日本一になった昨年に満足していないのだという。「優勝に貢献したかと言われれば、そうでもないから」。まだこんなものじゃない。もっと先にいけるはず。そんなもどかしさが、孤高の鍛錬に結び付いているのだろう。

 スポーツに限らず、人が強くなる方法は幾つかある。そのひとつは、一人で自分と向き合うことではないだろうか。一人はつらい。だが、孤独な時間をつくり、自分の弱さを見つめ直すのは大事なことだ。独りで考え、独りで答えを出すことでしか得られないものがある。

 大谷は3月、侍ジャパンの一員として、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に初参加。いよいよ世界に第一歩をしるす。彼は言う。「もっとうまくなりたい。もっとたくさん打ちたい。それだけです」。際立つ二刀流の磨き方。大谷に倣って、ときには、孤独と向き合ってみるのも悪くない。

 文・谷野哲郎/写真・北田美和子/デザイン・高橋達郎

 

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