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スポーツのしおり

(29)「空の方程式」掛け合わせ

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 「空のF1」と呼ばれる小型飛行機の世界最高峰レース「レッドブル・エアレース」が3、4日に千葉県幕張で行われる。唯一の日本人パイロットの室屋義秀(44)は「自分の力を100パーセント出せれば、結果は付いてくる」と力強く話す。

 エアレースは曲技飛行のテクニックを駆使し、コースに設置された高さ25メートルの旗門の間を通過しながらタイムを争う。最高時速は370キロ。世界最速のモータースポーツはときに体重の10倍もの重力がかかり、失神の危険もある過酷な競技だ。

 子どものころ、アニメ「機動戦士ガンダム」を見て、パイロットを志した。そこから苦労の連続だった。中大在学中に単身渡米し、免許を取得。借金をして飛行機を購入した。地道に技術を磨き、2009年からエアレースに参戦し、昨年の千葉大会で初優勝。「飛び始めて25年で、やっと取れた」と涙した。

 素早く正確に。ミリ単位で操縦桿(かん)を動かすために大切にする手順がある。まずは準備。分析担当とレース戦略を練る。次は訓練。格納庫の床に模擬コースを作り、その上を歩きイメージトレーニングを繰り返す。考えるより速く反応するよう、体に覚え込ませるのが要点だという。

 そして集中。目指すは極限の集中状態、いわゆる「ゾーン」に入ること。「静かに座って呼吸を整えていく。集中力を高めるには、正確に自分の状態を知ることが大事」

 仕事や人生は何かと何かの掛け合わせ。何を自分流に掛け合わせていくかが個性になる。彼にとっては、準備、訓練に集中を乗じていくことが勝利への道筋、方程式になるのだろう。千葉は連覇がかかる大会。「今年の目標は総合優勝」と語る室屋が導き出す解に注目したい。

 文・谷野哲郎/写真・Garth Milan/Predrag Vuckovic/Joerg Mitter/Red Bull Content Pool/デザイン・高橋達郎

 

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