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【鉄学しましょ】

喜劇舞台の食堂車 土屋武之さん

写真

 戦前から戦後の流行作家・獅子文六に「七時間半」という小説がある。題名は東京−大阪間を走る特急「ちどり」(実在の特急「はと」がモデル)の所要時間に由来。食堂車のウエートレス藤倉サヨ子と「ちどりガール」(今でいうアテンダント)今出川有女子(うめこ)が中心となり巻き起こすラブコメディーだ。既に6時間台で走り抜ける新型電車特急「こだま」が登場し、古い「はと」は引退が決まっていた1960年ごろのお話で、当時としては珍しい女性の職場だった特別急行の車中の様子が、綿密な取材に基づき、実情に即して、面白おかしく描かれている。

 食堂車は、執筆時期から推測するにオシ17形だ。この形式、調理用レンジの燃料が石炭であったなど、今日ではレトロとしか言いようがない車両で、小説のころでも旧式化していた。

 だが、色も薄緑から青に変わり教習用車に改造された姿で、現在でも1両が「碓氷峠鉄道文化むら」(群馬県安中市)で保存されている=写真。半世紀の時を超え、ドタバタ喜劇の舞台が残っているのだ。70歳代になったサヨ子や有女子は、孫を連れてここを訪れ、青春時代を懐かしんでいるかもしれない。

 

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