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【鉄学しましょ】

ユーミンと西立川 土屋武之さん

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 荒井由実(松任谷由実)の「雨のステイション」(1975年)は西立川駅(立川市)が舞台。ディスコで踊り明かし、霧雨に煙る夜明け、始発電車を待つ若き日の自分自身をモデルにした曲と、ユーミンが著書に記している。2002年には駅舎改築を記念して駅前に歌碑が建てられ、06年からは発車メロディーにも使われるようになった。

 ユーミンの青春は1970年代。駅北側に広がる国営昭和記念公園が、まだ米軍立川基地だったころだ。返還後に再開発され静かな住宅街となった今とは違い、当時の西立川駅の周辺には、ベトナム戦争さなかの軍施設の殺伐とした雰囲気と、若者が憧れるアメリカナイズされた文化が入り交じった、異空間が広がっていたことだろう。

 もやの中からごう音を響かせながら現れる電車は、当時の青梅線の主力であった、茶色い72系がふさわしい。太平洋戦争後の米軍占領時代に大量生産された電車で、当然、クーラーなどない。6月の蒸し暑い朝。雨で窓も開けられず硬い座席でうつらうつらしている少女を、気だるいモーター音で包みつつ、終点の立川へとひと駅。ゆるゆると走ったに違いない。

 

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