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【鉄学しましょ】

短歌に詠まれた貨物 土屋武之さん

写真

 1932年に東京市域が拡大された際、城東区(現在の江東区の一部)も誕生した。当時、工業化が急速に進み、近代産業が生む活力に満ちあふれていた地域である。それにひかれた歌人の土屋文明も新区設置直後に訪れ、「城東区」と題する一連の短歌を詠み、1935年の歌集「山谷集」に収めた。

 鉄道もまた力強い風景の一つとして題材とされた。「木場すぎて荒き道路は踏み切りゆく貨物専用線又城東電車」という歌がある。現在の木場公園から東へ葛西橋通りを歩き、まさしく貨物専用の総武本線越中島支線と、立て続けに29年に全線開業したばかりの私鉄・城東電気軌道の踏切を渡った時に詠まれたと思われる。

 越中島支線は健在で、昭和初期と産業構造が変わった今とでは比べものにはならないが、平日3往復だけながら貨物列車が走る=写真。住宅と大小の事業所が混在する中をゆっくり進むディーゼル機関車からは、ようやく東京の一部となったころの地域の姿もしのばれる。城東電気軌道はのちに東京都が買収。都電砂町線となったが、1972年に廃止された。線路跡の一部は緑道公園として整備されており、ルートをたどることは容易だ。

 

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