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【鉄学しましょ】

怪獣とパンと少年 土屋武之さん

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 1971年11月に放送された「帰ってきたウルトラマン」の4作品はいずれも評価が高く、「11月の傑作群」と呼ばれる。ただ11月19日にオンエアされた「怪獣使いと少年」はウルトラマン・シリーズ最大の問題作ともされる。差別への怒りを真正面から表現した夢も希望もない内容は、「子供番組の域を超えている」と、一度はテレビ局から納品を拒否されたといわれる。

 調査のため地球を訪れた友好的なメイツ星人は、汚れた大気に身体をむしばまれて故郷へ帰れなくなり、人間の孤児・佐久間良と廃屋で暮らしていた。しかし宇宙人であるというだけで壮絶な虐待を受け、最後は罪なく射殺されてしまう。良少年は地球に絶望し、メイツ星へ行こうとする。

 唯一の救いは、良少年とパン屋のお姉さんとの温かい交流だった。ロケ地は小田急祖師ケ谷大蔵駅南口前。現在はスーパーになっている。誰からも忌み嫌われた彼が食パンを売ってもらい、雨の中、笑顔で去ってゆく小道は、成城学園前寄りの線路際だ。複線で地上を走っていた小田急は高架複々線になり、周囲の風景は一変した。しかし、人の心に差別はもうないと言えるだろうか?

 

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