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【タイムライン】

史上最強 競歩6人衆 リオ男子代表決定 メダル夢じゃない

代表に決定しポーズを決める(左から)松永大介、高橋英輝、谷井孝行、森岡紘一朗=東京都北区の国立スポーツ科学センターで(右上円内は藤沢勇)

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 日本陸連は18日、リオデジャネイロ五輪の競歩男子代表として、50キロは昨年の世界選手権4位の荒井広宙(自衛隊)、20キロは2012年ロンドン五輪代表の藤沢勇(ALSOK)を新たに選び、発表した。世界選手権で銅メダルを獲得して4大会連続の代表を決めていた50キロの谷井孝行(自衛隊)らを合わせ、6人が出そろった。

 日本陸連は派遣設定記録を突破した国内選考会の日本勢トップは、自動的に代表とする選考基準を設けていた。50キロでは森岡紘一朗(富士通)が昨年の全日本高畠大会で3大会連続の代表入りを決め、20キロは2月の日本選手権で高橋英輝(富士通)、3月の全日本能美大会で松永大介(東洋大)が基準を満たし、初の五輪代表となっていた。

 荒井は17日の50キロの日本選手権で谷井に次ぐ2位になり、五輪代表に初選出された。20キロで日本選手権2位の藤沢は、能美大会2位の西塔拓己(愛知製鋼)との選考会のタイムの比較で上回ったことが評価された。女子20キロは派遣設定記録に到達した選手が出ず、6月の日本選手権終了後に他の種目と合わせて選考される。

 男子競歩で史上最高のメンバーがそろった。20キロ世界記録保持者、鈴木雄介(富士通)が故障でリオ五輪を断念したのは残念だが、谷井は「20キロも50キロも全員がメダル候補だと思う。20キロで1時間18分台が3人そろうことはない」と力を込める。

 日本陸連はリオ五輪の目標として「メダル1、入賞5」を掲げる。今村文男競歩部長は「競歩でメダル1、入賞2。それぞれの自己記録から見ても達成可能」と自信をのぞかせた。持ちタイムで示すことしの世界ランキングは20キロで高橋、藤沢、松永がトップ3を独占。昨年の50キロは荒井が2位、谷井3位、森岡11位。日本勢が上位に名を連ね、初の五輪メダル獲得は夢物語ではない。

17日の日本選手権50キロ競歩で2位となり、代表入りした荒井広宙=石川県輪島市で

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 かつて日本の陸上を支えてきたのはマラソンだった。1992年バルセロナ五輪から4大会連続でメダルを獲得。それが、いまや競歩が陸上界のエースになりつつある。

 競歩は常にどちらかの足が地面に接している、膝を曲げてはならないなどのルールがあり、審判員が「走らずに歩いているか」をチェックする陸上競技で唯一判定のある種目。選手は技術や巧みさが求められ、50キロとなれば、忍耐や粘りも必要だ。日本人に向いた競技特性といえるだろう。

 また、2001年から全国高校総体の正式種目となり、専門に取り組んできた選手が増えてきた。現段階でアフリカ勢は賞金レースの多いマラソン志向が強く、競歩に目を向けていない。日本では「世界を狙えるのは競歩」が共通認識になっている。

 20キロ代表は3選手とも20代。2020年東京五輪へ向けても光が差す。最年少21歳の松永は「4年後の東京五輪で金メダルをとりたい。そのためにリオで勝負する」と目を輝かせる。 (森合正範)

◆審判員も育成 競技レベル向上

 男子競歩飛躍の背景には日本陸連が取り組んできた審判員の教育、育成がある。

 転機は2003年の世界選手権(パリ)。出場した日本選手4人のうち、3人が失格となった。国内大会では問題のない歩型が国際大会では警告になる。世界で25人しかいない国際審判員と日本の審判員の判定に大きな隔たりがあった。

 当時、50キロ代表で失格となった今村競歩部長は「国内と国際大会で基準が違った。これはおかしいのではないか。日本の審判員の質を高めないといけないという話になった」。2000年代前半は日本で好記録が出ても海外からは相手にされなかったという。

 04年から日本に国際審判員を講師として招き、研修を始めた。以降、定期的に実施し、10年以上かけて審判員の質の向上に努めてきた。ことし2月の日本選手権20キロ(神戸)でも、来日した4人の国際審判員を講師としてセミナーを実施。内容は映像を見せ、正しい歩型か反則かを回答させるなど実戦に則したものだった。

 いまや国際審判員と日本の審判員に大きな差異はない。国内でも国際大会と同じ基準の厳しいレースを経験できるようになり、結果として、日本の競技レベルを上げることにつながった。選手だけでなく、審判員も育成するという地道な取り組みがリオで花開こうとしている。 (森合正範)

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 <たかはし・えいき> 岩手・花巻北高2年で競歩を始め、岩手大時代から日本の第一線で活躍。20キロで15年世界選手権47位。2月の日本選手権では2連覇した。1万メートル競歩の日本記録も持つ。175センチ、56キロ。23歳。岩手県出身。

 <まつなが・だいすけ> 神奈川・横浜高1年から競歩を始め、12年全国高校総体の5000メートルで優勝。14年世界ジュニア選手権の1万メートルでは金メダルに輝いた。東洋大4年。174センチ、58キロ。21歳。神奈川県出身。

 <ふじさわ・いさむ> 長野・中野実高(現中野立志館高)から山梨学院大へ進み、4年生だった09年に世界選手権初出場。12年に20キロの日本選手権を初制覇し、ロンドン五輪代表入り。165センチ、53キロ。28歳。長野県出身。

 <たにい・たかゆき> 五輪代表は04年アテネから4大会連続。世界選手権は6大会連続で出場し、15年北京大会50キロで日本競歩初の銅メダル。14年アジア大会優勝。富山・高岡向陵高、日大出。167センチ、57キロ。33歳。富山県出身。

 <もりおか・こういちろう> 08年北京、12年ロンドン両五輪代表。世界選手権は05年から13年まで5大会連続出場し、11年大邱大会は50キロで5位入賞。長崎・諫早高、順大出。184センチ、64キロ。31歳。長崎県出身。

 <あらい・ひろおき> 11年から世界選手権に3大会連続出場し、15年北京大会50キロで4位。日本選手権は昨年、初優勝した。長野・中野実高(現中野立志館高)、福井工大出。180センチ、62キロ。27歳。長野県出身。

 

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