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【タイムライン】

WBC、来春で終了? 上がらない収益、米国内薄い関心

2006年、第1回WBCでキューバを破り優勝した日本代表。こんな光景も次回限りでみられなくなるのか=米カリフォルニア州のペトコ・パークで

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 野球の国・地域別対抗戦、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が、来年3月に行われる第4回大会を最後に終了する可能性があると米国の複数のメディアが報じた。スポーツ専門局ESPNのクリスチャン・モレノ記者が報じ、他のメディアが反応した。日本では人気の大会だが、米国での現状を探った。 (ロサンゼルス・樋口浩一)

 モレノ記者は11月28日、短文投稿サイト、ツイッターで「それなりの収益が上がらなければ、WBCは2017年が最後になるかもしれない、と複数の関係者から聞いた」と報じた。同記者は「WBCは営業的に成功しているとはいい難い。開幕に向けての準備期間である3月という時期が悪いことや、肝心の米国代表の成績が芳しくないことが原因だ。大会中の選手のけがの補償という問題もある」と記した。

 他のメディアもこれに反応した。CBSスポーツ(電子版)は「残念だが、予想できたことだ。効果の見込めない出費は避けたいということだろう」とし、ヤフースポーツは「WBCは海外のファンを引きつけたが、米国のファンに関心を抱かせるほどではない」とした。

 13年の前回大会終了直後、当時大リーグ機構の副会長だったブロスナン氏は「着実に世界的な大会に成長している」と胸を張った。ただ、米国内での人気はいまひとつ。米国で外国選手同士の野球を楽しもうというファンの数は限られている。テレビの視聴者数を見ると、09年の決勝戦、日本−韓国は全米で167万人あまり。13年の決勝のドミニカ共和国−プエルトリコは84万人だった。

 一方、同時期に行われるバスケットボールの全米大学選手権は1試合平均1000万人、決勝戦ともなると2000万人。桁違いの差がある。

 ファンがついてこないのには、米国代表の成績が振るわないこともあろう。過去3大会で最高は準決勝(06年、13年は2次ラウンド敗退、09年はベスト4)。通算で10勝10敗と凡庸だ。開幕に備えて参加を見合わせる主力選手が多かったこともある。

 来年の大会には今季2度目のサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)を受賞したナショナルズのシャーザーや、2年連続でナ・リーグの本塁打と打点の二冠王であるロッキーズのアレナドといった一線級が参加の意向を示している。しかし、チームとしての真剣度では日本などに及ばない。

 これでは米国でメディアの扱いが大きくならないのも無理からぬところ。スポンサーもつきづらく、米国内で打ち切りの可能性がささやかれる要因となっている。

「WBCは次回限りで終了の可能性」と報じるESPN・モレノ記者のツイッター

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◆アジア・中南米は人気国際化に貢献

 来年3月にWBCの準決勝と決勝が開かれるロサンゼルスの地元紙ロサンゼルス・タイムズの29日の紙面を見たところ、WBCが次回限りで終了する可能性があるというこのニュースは取り上げられていなかった。改めて米国での関心の低さを感じた。

 ただ、だからといってWBCに意義がないとは思えない。日本などアジアや中南米では大変な人気を博し、オランダやイタリアなども力を付けている。野球の国際化に貢献しているのは確かだ。前回13年、ドミニカ共和国代表は優勝直後に大統領から祝福の電話をもらった。決勝で敗れて準優勝だったプエルトリコでは、決勝戦のテレビ視聴率が中継した3局合計で約40%だったという。普段、祖国を離れて大リーグでプレーしている中南米出身の選手たちにとって晴れ舞台なのである。

 収益分配については、以前も問題になった。開催時期など、ほかにも難しい面を持つのは確かだが、この大会をなくしてしまうのは惜しい。来年の大会以後、主催者の大リーグ機構と同選手会がどのような判断を下すのかが注目される。

<ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)> 野球の世界一を決める国際大会。米大リーグ機構と選手会が中心になって開催される。2006年の第1回大会は16の国と地域が参加して行われ、09年以降は4年に一度開催されている。第4回大会は来年3月を予定。

 

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