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【タイムライン】

投稿動画で君も侍ジャパン U12逸材発掘 アジアV

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 野球のU−12(12歳以下)日本代表がユニークな方法でチームづくりをしている。埋もれている逸材を全国から発掘するため、スマートフォンやタブレット端末などで撮影したプレー動画を募集して、選手選考に活用。層が厚くなった日本は今月中国で開催された第9回アジア選手権で初優勝した。誰でも気軽に動画を扱える時代ならではのアイデアで、年代別最年少の「侍ジャパン」の強化につなげている。 (対比地貴浩)

 「われわれが考えていた以上のことができた。よく戦ってくれた」。アジア一の称号を手にし、14日に羽田空港で記者会見したU−12日本代表の仁志敏久監督は、実力を十二分に発揮した選手たちをこう言って褒めたたえた。

 V選手の一部は、「デジタルチャレンジ」という投稿動画による一般公募で代表入りした。プロ野球中心のトップチームはもちろん、他の年代別や女子の代表でも行われていない独自の手法だ。代表を運営するNPBエンタープライズの加藤謙次郎・事業部兼広報部主任は「選手に広くチャンスを与えられる」と利点を語った。

 「デジタルチャレンジ」は、選手の投球や打撃などの動画を自前で撮り、90秒以内にまとめて代表の公式サイトに送信すれば、選考に参加できる仕組み。全日本軟式野球連盟の登録チームに所属することや、50メートルを7・3秒以内で走れることなどの条件はあるが、それを満たせば誰でも売り込めるのが特徴だ。

 なぜ、U−12はこの方法を取り入れたのか。ポイントはU−12年代ならではの事情とテクノロジーの進歩にある。

 2013年にすべての野球日本代表が「侍ジャパン」に統一され、U−12も選抜チームをつくることになった。だが、ここで課題として持ち上がったのが選手選考方法。以前は主に全国大会の優勝チームを代表としたために選考の仕組みが整っていない上に、競技人口は高校球児より多い25万人前後。「いい選手は中学以上なら強豪校に集まりがちだが、小学生ではそうでもない」と加藤主任。日本各地に散らばる有力選手を探し出す知恵が求められた。

 そこで発案されたのが動画による選考だ。最近はスマートフォンやタブレット端末が普及。動画の撮影に加え、編集や投稿も気軽にできる環境があることも後押しした。

アジア選手権で初優勝した野球U−12日本代表の仁志敏久監督(後列左から5人目)ら首脳陣と選手=NPBエンタープライズ提供

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 14年の前回アジア選手権から導入したこの制度。今回は約150件の応募があり、代表15人中5人が「デジタルチャレンジ」出身となった。日本でただ一人のベストナインに選ばれた山下真輝(まき)選手(12)もその一人。主に外野手として活躍したが、地元の高知・諸木スワローズでは捕手のため、同チームの松本慎一監督は「違う才能が認められた。そうそう結果を残せないと思ったが」と驚く。

 一般公募には全国大会に出ていない選手もおり、出身地は関東、四国、九州・沖縄と幅広い。全軟連の宗像豊巳専務理事は「いろいろな地域から選んでこそ、日本代表だ」と取り組みを歓迎した。

 動画を取り巻く環境は日進月歩で発展している。加藤主任は「撮影するだけで、球速や球筋を動画上に明示できる技術が生まれるかも。そうなれば、さらに選考に生かせるはず」と期待している。

<他の競技でも> いまやタブレット端末やスマートフォンは他競技でも必須アイテムとして定着している。

 例えば、2012年ロンドン五輪で銅メダルを獲得したバレーボール女子日本代表。真鍋政義監督は試合中、iPad(アイパッド)を持って指示を飛ばし、注目を集めた。端末には選手の動きやスパイクのコースなどが、分析班から随時配信された。

 15年のワールドカップで躍進したラグビー日本代表は、選手らがスマホや端末で入力した疲労度や体の痛みなどの情報を体調管理に活用。野球日本代表のトップチームでは、対戦国のデータを収めた端末を選手に支給して、研究や対策に役立てている。

<U−12日本代表の選考方法> 今回は2段階で選考した。1次選考は「デジタルチャレンジ」のほか、全軟連の各都道府県支部が推薦した選手や仁志監督が指名した選手を含む約180人が参加。53人に絞った後、東京か大阪で実技などを行う10月の2次選考を経て15人を選んだ。

 

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