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【タイムライン】

30歳から稀勢の本領 大器晩成型元横綱・三重ノ海がエール

本場所初の土俵入りを披露する新横綱三重ノ海。31歳での横綱昇進だったが、その後は2度の優勝を果たした=1979年秋場所、蔵前国技館で

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 大相撲の稀勢の里が第72代横綱に昇進した。19年ぶりの日本出身横綱誕生に沸く一方で、30歳での“戴冠”に短命横綱を懸念する声がある。だが、横綱在位わずか8場所で引退した元三重ノ海の先代武蔵川親方、現在は相撲博物館の館長を務める石山五郎さん(68)は、横綱昇進で稀勢の里はさらなる進化を遂げると希望を示す。 (磯谷佳宏)

 三重県松阪市出身の三重ノ海は31歳5カ月で横綱へ昇進。関脇時代に賜杯を抱いたものの大関では優勝経験がなく、一時は関脇に陥落しながら横綱になった唯一の力士として知られる。横綱時代は左肘の古傷などに悩まされ、早々に引退を余儀なくされた。

 1979年秋場所で新横綱。輪島、北の湖、2代目若乃花と4横綱時代が到来した。くしくも、稀勢の里の現状に重なる。「後から上がったから、責任が果たせるか不安だった」。それでも、翌九州場所から2場所連続優勝。「役目を果たさなければ、辞めなければいけない。いい相撲を取ろうと思っていた」

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 30代は、既にベテランの域。稀勢の里は初土俵から苦節15年を要して最高位に就いただけに、短命横綱に終わる不安もよぎるが、経験者は「優勝回数が増えていくんじゃないか。地力があるから」と明るい未来予想図を描く。

 角界には「地位が人をつくる」という言葉がある。初優勝したことで「一つのきっかけが、大きなきっかけになる」。悲願の賜杯を抱き、横綱にまで上り詰めたことが、飛躍をさらに加速させる原動力になるとみている。

 自らの現役時代を述懐し、30代は「真の力が出るよ。年じゃない」と断言。横綱稀勢の里について「どっしりした横綱になるよ。左を差せば安心して見ていられる」と語り、「絞る、(上手を)取る、右の使い方がもう少しできれば、もっと楽に勝てる」とアドバイスする。「ファンも期待しているから、本人もやりがいがある。頑張ってもらいたい」。偉大な先人は優しい瞳で新横綱にエールを送る。

大相撲初場所で初優勝を果たし、賜杯を手にする大関稀勢の里=両国国技館で

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◆角界のイチロー目指す「体はまだこれから」

 30歳を前に昨年、稀勢の里は言った。「体はまだこれから。元気だし、いろいろ力もついてくると思う。楽しみ」と体力的な衰えが指摘されかねない三十路(みそじ)の自身にも期待した。裏打ちは、土俵人生15年で休場はわずか1日しかない抜群の実績。昨夏の巡業は前半を休場したが、実は直前の名古屋場所途中で右足を痛め、本場所を休場する危機に見舞われながら、千秋楽まで務め上げた。

 長く第一線で活躍するアスリートに刺激を受ける。昨年6月、米大リーグのイチローが42歳で日米通算4257安打を放ち、ピート・ローズ氏の米通算歴代最多安打記録を抜いた際に「同じアスリートとして尊敬する。あの年で一線にいるのは並大抵じゃない」と元野球少年。「生活面もしっかり節制しているからこそ、体を維持できているのでは。見習うところもある」。自身が横綱として“角界のイチロー”を体現できれば、大相撲界に新たな指針を生む。

 

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