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【タイムライン】

フィジカル、メンタル強く 東京五輪で戦えるハンドボール代表に

熱のこもった指導を繰り広げる女子のキルケリー監督(左)=東京都内で

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 長らく五輪出場から遠ざかっているハンドボールで、日本代表の再建が始まっている。男女ともに本場の欧州から招いた外国人監督が就任し、2020年の東京五輪へ向けて動き出した。世界を知る指導者2人がそろって課題に挙げたのは「強いフィジカルと経験に基づく強いメンタル」。体格に勝る海外の強豪に当たり負けせずに戦える体と、重圧のかかる場面や苦しい場面でも力を発揮できる精神力だ。 (平松功嗣)

 これまでの日本代表は、海外の選手に体格で劣る分、スピードや敏しょう性など、日本選手の特徴を生かした強化を志向するきらいがあった。しかし世界の強豪とは、それでは補えないくらい体の強さの差があるのも事実だ。

 サッカーやバスケットボールなどと比べ、ハンドボールではより激しい体のぶつかり合いがプレーの中で起こる。22位に終わった今年1月の男子の世界選手権(フランス)では、試合中盤まで対等に戦えても、終盤に差をつけられる試合があった。激しい当たりに耐えることで、ライバルよりも体力の消耗度合いが大きいという。

 2月に男子の監督に就任したダグル・シグルドソン監督は「大きな問題はフィジカルストレングス(肉体的な強さ)」と指摘。昨年6月から指揮を執る女子のウルリック・キルケリー監督も「欧州のレベルに近づくにはフィジカルトレーニングが必要。守備でも攻撃でも、強くてパワフルでアグレッシブで」と強調する。大きな選手に当たり負けしない体の強化は急務だ。

 一方で、両監督は精神面、特に経験に裏打ちされた強い気持ちや、勝つことへのハングリー精神を求める。シグルドソン監督は「高い重圧のかかる状況での経験」を積ませることを重要視する。

 キルケリー監督も「プレッシャーの中で戦い抜くことが非常に大事」と精神面の重要性を説く。その上で、「私の選ぶ選手は、いい選手ではないかもしれない。いいときも悪いときも、一緒に戦える選手を選ぶ」。実力があるだけではなく、精神的な強さも日の丸を背負う条件とする。

 戦術面については、守備の強化が当面の課題という。日本ハンドボール協会の田口隆強化本部長は「どのスポーツでも勝利に近いチームは守備がいい。日本の俊敏性を生かした守備の構築と優秀なGKの育成に両監督とも力を入れる」と話す。そのためにも、勝負どころや疲労が大きい場面でもしっかり守れて正確なプレーができるメンタルは必要不可欠だ。

 五輪での日本は、男子は1988年のソウル五輪を最後に出場を逃している。女子は76年のモントリオール五輪しか出場経験がない。開催国として出場する2020年の東京では、本場の欧州から招聘(しょうへい)した指導者のもとで、久しぶりに五輪の舞台で戦うことになる。それだけに、これから3年余りの成長に期待がかかる。

日本男子の再建を託されたシグルドソン監督

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◆外国人監督迎え再建へ

 東京五輪へ向けて日本代表の強化を任された両監督は本場の欧州で活躍してきたが、日本とのつながりも深い。

 昨年のリオデジャネイロ五輪でドイツ代表を銅メダルに導いた男子のシグルドソン監督は、アイスランド出身の44歳。現役時代に2000年から3年間、日本リーグの湧永製薬でプレー。引退後も定期的に来日し、講習会で指導するなど日本のハンドボール界に貢献してきた。

 日本好きでも知られ、好きな日本食を聞かれると「サシミ、スシ、ヤキニク、ラーメン…」と列挙するほど。リオ五輪後は強豪国の代表チームやクラブチームの監督としてオファーがあったというが「新しいチャレンジをしたい」と日本代表を選んだ。

 女子のキルケリー監督は、デンマーク出身で45歳。同国の女子代表コーチとして13年世界選手権3位に貢献。一方でバーレーン、サウジアラビアの代表監督も歴任し、アジアのハンドボールにも精通している。「アジアのハンドボールとは長い付き合い。日本にもいい印象を持っている」と心強い。世界も日本もよく知る両監督のこれからの手腕に、注目が集まる。

◆男子・下旬から合宿 女子・世界選手権へ

 昨年6月から新体制がスタートした女子は、初の実戦となったことし3月のアジア選手権で準優勝し、世界選手権(12月、ドイツ)の出場権を獲得した。リオ五輪の出場権を争ったチームのメンバーが半数ほど入れ代わって経験が少ない選手が多く、主力選手もけがで万全ではなかった。その中で、優勝した韓国との試合でリードする場面があったり、体格で勝る中国には終盤の逆転劇で勝利したりと、収穫のある大会となった。

 田口本部長は「キルケリー監督の体制での始まりとしては、高い位置からのスタートとなった」と評価。一方で、国内にはいない大型GKに対するシュートに苦戦するなど、課題も見つかった。

 男子は、4月下旬から代表合宿を行い、シグルドソン監督の下での強化が本格的に始動する。

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