東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > タイムライン > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【タイムライン】

秒速11・6メートルを超えろ 男子100メートル 9秒台秒読み

リオデジャネイロ五輪代表選考会を兼ねた昨年の日本選手権男子100メートル決勝で競り合う桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥、山県亮太(左から)。今季は9秒台を目指してしのぎを削る=パロマ瑞穂スタジアムで

写真

 陸上の国内トラックシーズンが幕を開ける。注目は男子100メートル。日本選手初の9秒台突入を狙うのは、日本歴代2位となる10秒01の自己記録を持つ桐生祥秀(東洋大)、安定した力で10秒0台をマークする山県亮太(セイコーホールディングス)、15日に追い風参考(5・1メートル)ながら9秒98を刻んだケンブリッジ飛鳥(ナイキ)だ。桐生は23日の出雲大会(島根県出雲市)、山県は29日の織田記念国際(広島市)で国内初戦に挑み、ケンブリッジは米国を転戦中。記録と明確な相関関係がある最高速度アップへの取り組みを探った。 (森合正範)

 日本陸連の科学委員会は、9秒台の条件として「レース中の最高速度が秒速11・6メートルを超えること」を挙げる。最高速度と記録は相関関係にあり、スピード曲線の頂点が高ければ高いほど、好タイムが出る傾向にあるからだ。

 日本選手で唯一、秒速11秒6メートルをクリアしているのが桐生。10秒01で走った2013年4月の織田記念国際の予選は測定機器の不具合により、最高速度は計測できていない。しかし、科学委員会は前後のデータを基に最高速度は秒速11・64メートルだったと推定。直後の決勝は追い風参考(2・7メートル)ながら、秒速11・65メートルに達した。

 桐生はさらなるスピードアップを求め、昨年11月からアテネ五輪男子ハンマー投げ金メダルの室伏広治氏に指導を仰ぎ、筋力アップに努めてきた。体重は2キロ増え、「脂肪が落ちて全体的に筋肉が付いた」。今季初戦となる3月のオーストラリアでは10秒04を記録し、簡易測定とはいえ最高速度は秒速11・7メートル台を計測した。「例年よりスピードが出ていた」と確かな手応えをつかんでいる。

 最高速度が上がったのは山県も同じ。これまでの最高はリオ五輪の準決勝で「秒速11・4くらい」。オフは最高速度に到達する50〜60メートル区間のスピード強化に取り組み、短い距離のダッシュを繰り返すことで底上げを図ってきた。

 初戦のオーストラリアで10秒06、10秒08と安定した力を発揮。「50メートル地点の最高速度のデータがすごくよかった。1大会だけで本当に上がったと言えるかどうか、まだ分からないけど、去年までよりいい」と表情は明るい。最高速度は秒速11・6メートル前後だったとみていいだろう。

 ケンブリッジは昨年6月の日本選手権を10秒16で優勝したときの最高速度は秒速11・40メートルだった。この冬は「スタート練習もやったけど、得意の後半部分を磨いてきた。終盤は落ちないタイプなので、トップスピードを上げること」と、やはり最高速度アップを意識して練習に励んできた。

 筋力トレーニングで体重は昨季から3キロ増の79キロになり、ひと回り大きくなった。「一歩一歩が力強くなって、去年よりも前へ進む感覚がある。推進力が出てきた」と成長を実感。追い風参考とはいえ、9秒台を体感したことは大きな自信になっている。

 3選手ともオフの取り組みが実を結び、初戦から好タイムをマークした。9秒台突入は秒読みとなり、「最初に9秒台を出したい」と口をそろえる。果たして、いつ、誰の名が歴史に刻まれるのだろうか。

写真

◆スタートの山県 中盤は桐生 後半にケンブリッジ

 昨年6月の日本選手権100メートル決勝のスピード曲線が3選手の特徴を示している。走りのタイプは三者三様だ。

 山県は鋭いスタートから勢いよく飛び出し、加速する。爆発力はないものの、一定の速さで最後まで走り切る。

 桐生はレース序盤に右脚をけいれんし、途中で速度を緩めたが、中盤型といえる。2013年に10秒01を記録したときには、20〜30メートルで一気に上昇し、50〜60メートルで頂点に。大きな弧を描いている。終盤の落ち幅を少なくできれば9秒台に乗るだろう。

 ケンブリッジは典型的な後半型。最高速度に到達するのが遅く、その後もあまりスピードが落ちない。課題はスタートで3月下旬の宮崎合宿では山県と一緒に練習。助言を求め、改善に努めていた。 

 

この記事を印刷する

PR情報