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【タイムライン】

村田「右が当たれば倒せる」 20日、WBAミドル級世界戦

世界戦に向け、練習する村田諒太=東京都新宿区の帝拳ジムで

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 世界ボクシング協会(WBA)ミドル級王座決定戦(20日、有明コロシアム)に挑むロンドン五輪ボクシング男子ミドル級金メダリストの村田諒太(31)=帝拳=が、本紙の単独インタビューに応じた。元世界ボクシング機構(WBO)王者アッサン・エンダム(フランス)との闘いを前に初の世界戦への決意を語った。 (聞き手・森合正範)

 −初の世界戦へ向けて、ここまでの仕上がりは。

 「良い時、悪い時とあったけど、波を越えて、いいコンディションで来ている」

 −デビューから約4年で世界挑戦にたどり着いた。13戦目での王者となれば、ミドル級では世界最速になる。

 「とんとん行ったとは思わない。ちょうどいい時期。判定が続いたり、良くない時を過ごしてきた分、ボクシングの見方が広まった。仮に引退後、指導する立場となった時に、そういったアドバイスができる。僕の人生にとってはすごくいい道を歩んできたと前向きに捉えている」

 −プロとアマの違いを感じたのか。

 「技術面でいうと、プロとアマは全然違うんだから、アマのままでは通用しないと思っていた。そこが大きな間違いだった。ベースになるものは変わらない。調味料を加えるくらいでよかったのに、ガラッと変えようとしていた」

 −プロになっても、前に出るスタイルが持ち味。

 「スピードや技術より、僕の良いところはガードを固めて前に出る。相手にプレッシャーをかけて右を打ち込み、そこからのコンビネーション。それが通用するか、しないか。去年の4試合(4勝4KO)でつかめてきた」

世界初挑戦への意気込みを語る村田=東京都内で

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 −日本人ボクサーは技巧派が多いが、ミドル級(72・5キロ以下)の中でもパワーやスタミナで勝負するタイプ。強いフィジカルを作り上げるのに試行錯誤した。

 「昔から筋トレをすると動きが硬くなるという。でも、トレーナーは筋トレすることで可動範囲が広くなっていると(反対のことを)言う。そこにはマジックがあって、激しい筋トレをすると筋肉痛になり、その時は可動範囲が狭くなる。その状態で動くと、体が記憶してしまう。運動とは(体の)記憶であり、学習。それが動きを硬くする正体だと思う。だから、僕はトレーニングの『期(き)分け』が重要だと考えている」

 −具体的に期分けとは。

 「筋トレや可動範囲を広げるトレーニングと競技をやる時期を分けている。移行期を作り、体がきちんと動く状態にしてから、競技を開始する。五輪競技でもあまりやっていないと思う。(1日の)練習の中でも同じ。しっかりウオーミングアップをして、動ける状態にしてからトレーニングに入る」

 −対戦相手の印象。

 「相手はスピードがあって、足を使って動いてくる。倒れやすいが、立ち上がってきてからも強い。アマでもプロでも対戦経験のないタイプ。難しい試合になる」

 −試合のポイントは。

 「やはり相手との距離を詰められるか。右が当たれば相手は間違いなく倒れる。立ち上がってきても追い詰めて殴る。それが勝ちパターン。負けるとしたら、相手のジャブで中に入れず、あれよあれよとボクシングレッスンをされて終わる。どちらかだと思う」

 −勝てば、22年ぶりの日本人ミドル級王者。日本初の五輪メダリストの世界王者。

 「それは両方とも意識していない。ミドル級で世界戦をマッチメークしてもらうのは本当に難しい。勝って、機会をつくってくれた周りの人たちへ恩返しをしたい。エンダムに勝てば自分は強い人間だと胸を張って言える。それだけ価値のある試合になる」

【取材後記】試合前でもパパの顔

 インタビュー中に村田の携帯電話が「ピコーン」と鳴った。「あっ、嫁さんからです」と言って「子どもの迎えで保育園に行こうとしていたんですけど、時間的に無理ですね」と残念そうな表情を浮かべた。

 取材は世界戦3週間前の4月末。本格的なスパーリングは始まっており、疲労が重なり、ボクシングに専念していてもおかしくない。試合が近づくにつれ、不安が襲い、減量でイライラすることもあるだろう。しかし、村田は自分から、子どもたちと接する時間を増やしているという。

 「こういう時って家族っていいな、と思うんです。子どもの顔を見たり、一緒に寝かせたりするとすごく安らぐ。緊張と緩和です」とパパの顔で笑っていた。 (森合正範)

◆対戦相手「十分に戦略」

村田との対戦に向け、調整するアッサン・エンダム=東京都内で

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 村田と闘うエンダムが15日、東京都内のジムで練習を公開した。約1時間入念に汗を流し「全て順調。村田は前に出てくる力があり、右のパンチが強い。十分な戦略を練ってきた」と冷静に語った。

 1分程度に区切ったミット打ちでは、前進する村田を想定したように、得意のフットワークを使って下がりながらの連打を確認。軽快な動きで仕上がりの良さを感じさせた。

 元WBO同級王者は「重圧があるのは、強さを証明しないといけない村田の方だ。私は全てを兼ね備えた完璧なボクサー」と不敵に笑った。

<むらた・りょうた> 2011年世界選手権ミドル級で2位。12年ロンドン五輪男子ミドル級で、五輪ボクシングの日本選手では48年ぶりに金メダルを獲得。13年4月にプロ転向を表明し、同年8月のデビュー戦で東洋太平洋同級王者の柴田明雄に2回TKO勝ち。戦績は12戦全勝(9KO)。182センチ。右ボクサーファイター。奈良市出身。

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