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【タイムライン】

男子だってシンクロ 混合デュエット安部、世界選手権に挑戦

4月のジャパン・オープン混合デュエットで息の合った演技を披露する安部(右)、足立組=東京辰巳国際水泳場で

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 2020年東京五輪で女子の参加種目が増えるなど、改めてスポーツ界で男女の平等化が進む。一方で女子が主役を務めてきた競技で活躍する男子も。7月14日に開幕する世界選手権(ブダペスト)に挑むシンクロナイズドスイミング混合デュエットの日本代表、安部篤史(よみうりランド)に聞くと、新しい種目ならではの苦労があるようだ。 (松山義明)

◆表現の道「試行錯誤」

 混合デュエットが世界選手権に採用されたのは前回2015年カザン大会。男子も女子同様に化粧したり、フィギュアスケートのように上半身まで覆う水着を着るなど芸術性も注目された。それが今回はルールが一変。男子の化粧は禁止。水着もパンツタイプのみ。採点基準など競技部分は変わらないが、安部は「どう表現したらいいか、試行錯誤ばかり続く」と笑う。

 定着した種目とは言い難い。4月に日本で行われたジャパン・オープンでは3年後の東京五輪を見据え、女子は20カ国から約140選手が出場した。しかし混合デュエットのエントリーは、安部とロンドン五輪代表だった足立夢実のペア1組だけ。男子が加わることで演技の幅は広がるが、まだ競技としての定石はなく、動画サイトで海外の動向を注視する状況という。

 そもそも安部がシンクロを始めたのは帝京大に進学後だ。水中パフォーマンス集団「トゥリトネス」に入り、テレビドラマ「ウォーターボーイズ」に出演などしたが、幼少から始める女子に比べて遅いスタート。「体が硬く開脚が苦手。骨盤のつくりが違うので、男子は幼少からやっていないと高い柔軟性が身に付きにくい」と難しさを説く。

世界選手権に向けて意気込みを語る安部=東京都内で

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 ただ持ち前のセンスを生かし、初出場した15年世界選手権はテクニカルルーティン(TR)5位、フリールーティン(FR)7位と健闘。安部が次のステップとして目指したのは表現者の道だった。

 昨年4月、世界一と称される米国ラスベガスのショー「シルク・ドゥ・ソレイユ」のオーディションを受けた。3カ月後に伝えられた返答は「申し出はありがたいが、いま男性スイマーの空きがない」。水中部門のトップスターは前回カザン大会の混合デュエットTR1位、FR2位のビル・メイ(米国)。「もっと鍛錬し続けてスキルを上げ、もう一度シルクに挑戦したい」と夢を追うことに決めた。

 1日12時間を超えるトレーニングで力を付けた。今年5月のスペイン・オープンでは強豪の地元代表を抑えて総合優勝。集大成と位置付ける7月の世界選手権(ブダペスト)に向け、「やってきたことに間違いなかった」と手応えをつかんだ。

 東京五輪の追加種目に混合デュエットは選ばれなかったが、安部は「世界選手権に公式に導入されて驚かれたように、これから、さらに大きな変化があるかもしれない」と期待を込める。自身は高校まで平泳ぎ、個人メドレーに打ち込んでいた元競泳選手。「近く国内でもたくさんの男子が活躍する時代が来る。僕が通過点になれればいい」

4月の日本選手権で女子に交じって演技する佐藤陽太郎(中)=東京辰巳国際水泳場で

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◆水連、普及・育成に着手

 国内では男子選手の普及、育成が急務だ。日本選手権で男子が初出場したのは今年4月。フリーコンビネーションで茨城・谷田部中1年の佐藤陽太郎(ジョイフルアスレティックク)が女子8選手と息の合った演技を披露した。

 15年世界選手権で混合デュエットが採用され、昨年から日本選手権も男子の出場を認めていた。重い扉が開き、女子代表の井村雅代ヘッドコーチは「大いに賛成。どんな競技でも男女関係ないのがスポーツの良さ」と歓迎した。

 日本水連は昨年から、初心者を対象にした普及講習会を東京、大阪で年に1度ずつ始めた。同時に国際大会で活躍できる人材育成を狙った強化練習会もスタート。今年も6月2日から3日間、都内で練習会を行い、佐藤ら7選手が参加した。

 現在、日本選手権は種目ごとに男女の出場区分はないが、本間三和子シンクロ委員長は「男子が増えれば種目の独立を考えたい」としている。

 

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