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【タイムライン】

大鵬3世、念願のリング 納谷幸男がプロレスデビューへ

デビュー会見で右のキックを披露する納谷幸男=東京都文京区で

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 大相撲の昭和の大横綱、大鵬の故納谷幸喜さんを祖父に持つ納谷幸男(23)=リアルジャパン=が14日に東京・後楽園ホールでプロレスラーとしてデビュー戦を迎える。父は元関脇貴闘力でプロレスのリングに上がった経験もある鎌苅忠茂さん(49)=焼き肉店経営。4兄弟の長男で、兄弟そろって祖父、父と同じ大相撲を目指してきたが、長兄は高校で土俵を離れた。自分の居場所を追い求め、ようやくリングに立とうとしている。 (生駒泰大)

 8月にあった納谷のデビュー戦会見。対戦相手の雷神矢口(邪道軍)は「おまえはまだプロレスラーじゃないんだ。まだ卵だろ。オレが料理してやるよ。巨人、大鵬、卵焼き。うまい卵焼きにな」と挑発した。矢口はプロレスに転向した納谷の父とも戦っており、「おやじへの恨みはおまえに返す!」とも。対戦相手が、新人である納谷の売りをしっかり押さえて盛り上げてくれた。

 異例の注目を集めているのは矢口がネタにした通り、その出自だ。体格は祖父と父譲りの197センチ、130キロと立派。会見では終始聞き役だったが、堂々と座っていると存在感を醸し出す。

 家族と違う道を歩み始めた弟思いの納谷は「僕ができなかったことを弟たちはやってくれている」と話す。次男幸林(たかもり)は中大2年、三男幸之介は埼玉栄高3年、四男幸成(こうせい)は同高1年。3人とも名門の土俵で稽古を積み、大相撲を目指している。長兄はいつも、そんな弟たちの試合結果を気にかけている。

 納谷も同じく、埼玉栄高の相撲部員だった。中学で相撲を始めた時は「他に選択肢がなかった」。当時父は大嶽親方として、大嶽部屋の師匠だった。高校進学後は3年まで相撲部に在籍したが、2年の途中から格闘技の練習に軸足を移した。「相撲をやっていた時から好きなのは格闘技だった」と振り返る。

デビュー戦会見で雷神矢口(中)に胸ぐらをつかまれ、挑発される納谷幸男(左)。所属団体を主宰する師匠の初代タイガーマスク(右)が有刺鉄線の巻かれた矢口のバットを押さえる

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 今も納谷が頻繁に連絡を取る埼玉栄高の山田道紀監督(51)は「素質はあった。だけど、いろいろとあって相撲を続けられなかった」と話す。納谷が2年生だった2010年、角界は野球賭博問題で揺れていた。納谷の父もこの問題に関与し、日本相撲協会を解雇された。納谷を取り巻く周囲の雰囲気も、土俵から遠ざかる遠因となったようだ。

 高校卒業後、父が所属したリアルジャパンに入門し、格闘家デビューを目指したが、内臓の病気を患い手術を受けた。4年半かかり、ようやくリングへ。恩師の山田監督は「相撲界の2世は本当に大変。彼は挫折というか、いろいろなつらい経験を今までしてきた。これからが彼の本当のスタート」とエールを送る。

 宿命はこれからも背負う。「今は大鵬の孫、貴闘力の息子として名前を出してもらっているけど、プロレスラーの納谷幸男として自分を評価してもらえるように頑張りたい」。自分の道を一歩ずつ切り開いていく。

高校総体の稽古場で試合に向けて準備する三男幸之介(手前)と四男幸成(奥)=宮城県大崎市で

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◆三男・幸之介は九州場所目指す

 今後は三男の幸之介も注目を集めそうだ。10月は国体に出場予定。その後は、大鵬部屋の流れをくみ、かつて父が師匠を務めた大嶽部屋に入門する予定で、11月の九州場所でのデビューを目指す。190センチ、160キロの体格を生かした力強い相撲が持ち味。春の高校選抜大会では個人戦で優勝した実績も持つ。

 4兄弟を指導してきた埼玉栄高の山田監督は「今は三男が一番力を出しているが、1年生の四男も、中大に進んだ次男もこれから化ける可能性がある」と見ている。3人ともプロで活躍できる素質は持っているようだ。

 8月は「横綱の遺伝子」が各地で注目された。元横綱朝青龍のおいでモンゴルから留学している日体大柏高(千葉)3年のビャンバスレンが、宮城県であった全国高校総体の個人戦で準優勝。こちらもプロ入り予定だ。元横綱輪島の息子は甲子園デビューした。天理高(奈良)3年の輪島大地投手は、全国高校野球選手権大会準々決勝の明豊(大分)戦で登板。満塁本塁打を浴びるなど、ほろ苦いマウンドとなった。

 

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