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【タイムライン】

五輪野球 日本のライバルは? アジアCSが示す現在地

日本戦の4回、韓国の李政厚が左前に2点適時打を放つ。後ろは李鍾範一塁コーチ=16日

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 日本が初代王者に輝いた「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」。若手主体の大会ゆえに、対戦相手が今後、目指すスタイルも垣間見えた。準優勝の韓国はこれまでの豪打に頼るチームカラーから、機動力重視の戦略に移行しつつある。台湾は強打者に依存する傾向が見て取れた。2020年東京五輪を見据え、アジアのライバルの現在地を探った。 (磯部旭弘)

◆韓国、機動力シフト

 「長打力よりも機動力を押し出している」。韓国の宣銅烈(ソン・ドンヨル)監督は大会前の会見で熱っぽく語った。予選の日本戦。一回1死一塁、フェンス際の右飛で一塁走者がタッチアップ。判断に迷う打球にも果敢にスタートを切り、二塁を陥れた。四回は無死一塁から前打席で犠打を決めた打者がバスターエンドランで中前打。足を絡めて一、三塁の形をつくり、その後の犠飛で1点を奪った。

 韓国では高校生に木製バットの使用を義務化。早い段階で木製の扱いに慣れ、確実性の高い打撃を身に付けた若手が台頭している。かつて中日の守護神として活躍し、韓国初の代表専任監督となった宣監督は今回、俊足巧打の有望株を多く招集した。

 高卒新人ながら国内リーグで179安打をマークした李政厚(イ・ジョンフ)もその一人。予選の台湾戦では決勝打を放った。中日でもプレーした韓国代表の李鍾範(イ・ジョンボム)コーチを父に持つ19歳。宣監督は「李コーチより、はるかにいい成績を残せる芽がある」と期待する。

 15年の国際大会「プレミア12」で初代王者になった韓国だが、17年のワールド・ベースボール・クラシックでは1次リーグ敗退。低迷の要因には、大柄で長打力を誇った主力が不振に陥り、世代交代も進まなかったことが挙げられた。今大会の期間中、「経験」という言葉をしきりに使った指揮官が、いかに代表チームを成熟させられるか。

日本戦の試合前セレモニーでハイタッチをする台湾代表の陽岱鋼(左)ら=18日

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◆台湾、強打者に依存

 一方、台湾の洪一中監督は大会前に「基本的に打力が投手力よりも優れている」と語った。台湾には4つのプロチームしかないため、オーバーエージ(OA)枠で陽岱鋼(巨人)らも招集した。陽は「今回のメンバーはパワーヒッターが多い。今の台湾の野球だと思う」と説明した。

 注目を浴びたのは、台湾プロ球界で2人目となる三冠王に輝いた王柏融。今季は2年連続で打率4割と驚異の成績を残し、31本塁打、101打点を記録した。ただ、左の強打者が並んだ中軸は、韓国戦では変化球への対応に苦しみ無得点。日本戦では今永(DeNA)の高い制球力に翻弄(ほんろう)されるなど課題も浮き彫りになった。

 台湾では有望な若い人材が米国や日本に流出している。OA枠で選出され、韓国戦に先発登板した陳冠宇(ロッテ)は「台湾にプロのチームが増えれば、選手もプレッシャーなどに強くなるのではないか」と話した。

 東京五輪で金メダルを狙う日本にとって、韓国、台湾は負けることが許されない相手。韓国の宣監督は大会を終え、言った。「日本に負けたが、選手はいい経験をしたと思う。今後、東京五輪に向けて準備していかないといけない」。日本も自国開催での大願成就へ、さらなるレベルアップが求められる。

大会前の記者会見で健闘を誓い合う(左から)侍ジャパンの稲葉監督、台湾代表の洪一中監督、韓国代表の宣銅烈監督=15日、いずれも東京ドームで

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<アジアプロ野球チャンピオンシップ> 日本、韓国、台湾が参加し、3チームでリーグ戦を行った後に上位2チームが決勝を戦った。出場資格は24歳以下かプロ入りから3年以内の選手で、オーバーエージ枠で資格外の選手を3人まで起用できた。

 

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