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【タイムライン】

磨け 精密ヒットロール カーリング男子・SC軽井沢クラブ

パシフィック・アジア選手権の韓国戦でショットを放つSC軽井沢クの両角友。左は両角公、右は山口=8日、オーストラリア・エリナで(共同)

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◆「一撃必殺」ショット追求 氷読む力 底上げ

 カーリングのSC軽井沢クラブは国際大会で躍進し、来年の平昌冬季五輪に日本男子としては5大会ぶりとなる出場を決めた。男女通じて日本勢初となるメダルを目標に世界基準を志し、今季から高難度なショットの習得へ研さんを積んでいる。

 戦況を大きく動かす「ヒットロール」。投じたストーンが氷上に置かれた石をはじき出してから、軌道を変えて狙い通りの位置に止まるショットだ。進路を阻むガードストーンの裏など、相手に出されにくい所へ運べば得点機が広がる。攻防を兼ねた武器で、スキップ両角友は「一撃必殺」とその威力を強調する。

 速さや軌道、石に当てる角度と全てが完璧でなければ決まらない。昨季までは挑戦する機会が少なく、両角友は「(試合で)使わないから経験も積めないし、練習もあまりしなかった」という。

 転機は五輪出場を決めた4月の世界選手権だ。昨年4位の自信を胸に表彰台を狙ったが、7位に沈んだ。ショット精度の奥深さを再認識した選手たちが口をそろえたのは「石半個分の差」。直径約30センチの石1個の配置が、狙いと少しずれるだけで簡単にはじき出された。近づいたからこそ痛感した世界トップレベルとの厳然たる差だった。

 それを埋めるためには、強豪国に通用するヒットロールの技術が必要だ。そう感じた長岡コーチの提言に選手がうなずき、着手した。

 7月から始めた今季のチーム練習では高難度のショットの反復に時間を割いた。氷上のブラシを立てた目標点に石をぴたりと運べば成功で、数センチでもずれたら失敗。サード清水が「(ブラシの)パッドが0・5センチでも見えたら駄目という感じで極めようとしてきた」と胸を張るように、妥協を許さず完璧を追求した。

 ショットの精密さを速さでコンマ数秒、軌道で数センチにこだわることで、波及効果も出た。刻一刻と硬さが変わる氷面の状態を読む力や、氷上を掃いて石の進行を調整するスイープなど、全体的な底上げをもたらした。セカンド山口は「この練習で得たことがたくさんあった。細かい話し合いが増えてコミュニケーション力が上がった」とチームの成長を喜ぶ。

 司令塔の両角友は「世界トップとの差が縮まっている手応えはある。単純に量をこなし、経験を積んだ。一つのプレーの精度が上がっている」と実感を込めた。自信を膨らませながら、2月の大舞台へと突き進む。

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◆両角公、先鋒にやりがい

 先鋒(せんぽう)の「リード」を務める。常に大量点を念頭に置くSC軽井沢クの攻撃的な戦術で、その布石となる1、2手目を担う両角公は「真っ白なキャンバスに自分のショットで絵を描く。僕次第の部分もあるし、やりがいは感じる」と意気盛んだ。

 大黒柱のスキップ両角友と3歳違いの弟で、レギュラー4人で一番若い29歳。高校生で加入した当時は「1投に求められる精度が全然違った。練習でも差があった」と戸惑いもあったという。

 「その分、伸びしろがあるということ」と諭した長岡コーチの言葉を信じ、朝昼晩の3部練習に励んだ。努力が実り、4年ほど前に「ようやく一緒に戦っている感覚」(両角公)を手にした。正確なドローショットでチームを勢いづける。

 英語が流ちょうで誰とでも打ち解ける明るい性格。国際武道大在学時にはスポーツ貢献をたたえられ「松前スポーツ・文化賞」特別賞を受賞した。日本男子では1998年長野大会以来の五輪出場で脚光を浴びる平昌へ「活躍して、リードはこういうものだと示したい」と気概を抱いている。

<SC軽井沢クラブ> 地元選手を主体に結成、2005年9月に現チーム名で本格始動した。日本選手権を3連覇した09年に世界選手権初出場。昨年は日本男子過去最高の4位となった。レギュラーは兄弟の両角(もろずみ)友佑と公佑、清水徹郎、山口剛史。

 

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