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【タイムライン】

ウインドサーフィン 普及の好機

地元ラジオ局の取材を受ける穴山(右)。ウインドサーフィンが人気の現地でも注目度は高い=ヌメアで(牧田幸夫撮影)

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 2017年のスポーツ界。熱かったのはメジャー競技だけではない。文字どおり風を巻き起こしたのがウインドサーフィンだ。5月に国内では24年ぶりとなるスラロームのワールドカップ(W杯)が神奈川県横須賀市で開催。来年以降も世界大会の国内開催が続き、関係者は「今が知名度アップと競技普及の絶好機」と力が入る。(牧田幸夫)

◆熱い五輪女子代表争い

 W杯横須賀大会はPWA(プロフェッショナルウインドサーファーズ協会)が公認する最高峰の世界ツアー。今年は横須賀を含め、男子6戦、女子4戦が行われた。11月にヌメア(ニューカレドニア)で行われた最終戦には、日本から10選手(男子7、女子3)が出場した。

 スラロームは風上から風下にジグザグに滑走するスピード感あふれる人気種目。風速が毎秒約4メートル以上でないとレースは成立せず、強風下で荒馬のようなボードをコントロールする能力が求められる。

 最終戦の舞台、ヌメアのアンスバタビーチは、午後になると強い貿易風が吹く。その風を求めて世界中からサーファーが集うことで知られる。男子6、女子8レースが成立し、日本勢は女子で横須賀・津久井浜海岸をホームゲレンデとする須長由季(36)が6位、ベテランの鈴木文子(44)が10位、穴山未生(32)は12位。男子は浅野則夫(46)の29位が最高だった。

 昨年から世界ツアーに本格参戦する須長は「3位以上を狙っていたので悔しい」と話した。今年の年間世界ランキングも確定し、鈴木8位、須長9位、穴山は12位。5年連続トップ10入りの鈴木は「女子のレベルはどんどん高くなっている。来年もしっかり競技環境を整え、目標の世界一を目指していきたい」。

 世界ランカーがそろう日本女子について、世界女王のサラ・キタ・オフリンガ(オランダ領アルバ)は「日本選手には表彰台も十分狙える実力がある」とエールを送る。 

レースを引っ張る鈴木(JPN−61)

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◆世界大会の国内開催 続々

 ウインドサーフィンは、五輪ではセーリングのRSX級として行われる。

 10月に愛知県蒲郡市で開催されたセーリングのワールドカップ(W杯)で大西富士子(33)がRSX級で銀メダルを獲得。同種目で五輪、世界選手権、W杯を通じて史上初の日本女子のメダルだった。

 RSX級はスラロームとは別物。出場者は同一規格のセールとボードを使い、ヨットのように風下から風上へスタートする。微風でも実施され、ロンドン五輪代表の須長は「陸上競技に例えるなら、スラロームが短距離走でRSX級は中距離走。自転車ならマウンテンとロードほどの違いがある」と話す。

 大西は昨年、スラロームの世界ランキング4位。今年はW杯横須賀大会で9位だったが、その後の世界ツアー2戦を欠場しRSX級に軸足を移した。この種目の女子は激戦で、リオデジャネイロ五輪代表の伊勢田愛(30)、来年の日本セーリング連盟(JSAF)ナショナルチーム入りした小嶺恵美(30)がいる。ロンドン五輪21位で雪辱を期す須長も含め、東京五輪へ向けて代表争いは白熱しそうだ。

 来年は今年に続きスラロームのW杯横須賀大会が開かれるほか、セーリングのW杯シリーズも20年までの3年間は、江の島(神奈川県藤沢市)で開催。世界のトップサーファーが相次いで日本に集う。選手の傍ら、横須賀大会で実行委員を務めた国枝信哉(47)は「日本のほとんどの子どもたちはウインドサーフィンの素晴らしさを知らないと思う。これを機会にすそ野が広がってほしい」と期待する。

ヌメアでのツアー最終戦で先頭を滑走する須長(JPN470)=レース写真はいずれも (C)John Carter_Pwaworldtour.com

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◆進化する道具 対応カギ

 ウインドサーフィンの醍醐味(だいごみ)は、風の力で風よりも速く走る、そのスピードだ。一体どのくらい出るのだろうか。

 スラローム男女の日本チャンピオン、浅野と穴山は10月にナミビアでともに自身の持つ日本記録を更新した。強風の吹く砂漠の中に掘られた人工水路で、浅野が時速81キロ、穴山が72キロ(計測距離500メートルの平均速度)をマークした。

 2人はスラローム練習の一環として、衛星利用測位システム(GPS)を使ったスピード計測を取り入れている。世界記録は男子100キロ、女子85キロという。穴山は最高速度では79キロに到達し「次回は平均85キロを目指す」と世界記録を視野に入れる。

 浅野はこの11年間、スラローム日本ランキング1位に君臨する「絶対王者」。強さを維持し続ける理由を「道具の進化に対応していくことが大切」と力説する。「F1マシンがエンジンだけでなくタイヤやボディーが進化するように、ウインドもセールやボードなど年々進化している」と話す。

<ウインドサーフィン> 米国カリフォルニアで生まれ、1969年に日本に上陸。日本ウインドサーフィン協会(JWA)によると、体験人口100万人、愛好者は50万人。競技は大きく分けて四つの種目がある。ジャンプや着水の演技を競う「ウエイブパフォーマンス」、より技の多様性を競う「フリースタイル」。レース種目は「スラローム」とヨットレースに準じた「アップウインド」があり、五輪ではアップウインドがセーリングのRSX級として北京大会から採用されている。

 

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