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【タイムライン】

タイブレーク、采配変化も 選抜大会適用ゼロ 反応さまざま

大阪桐蔭は準決勝で、タイブレーク突入直前の延長12回にサヨナラ勝ちを決めた。左は立ち尽くす三重のバッテリー=4月3日、甲子園で

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 第90回記念選抜高校野球大会から甲子園の舞台でも延長十三回以降に適用されるタイブレーク制度が導入されたが、全35試合はいずれも十二回以内で決着がついた。甲子園での実施は100回目となる夏の選手権大会に持ち越されたが、制度を想定した采配や選手選考などは選抜大会でも見られた。当事者たちはどう受け止めたのか。選抜大会での発言から探った。 (唐沢裕亮)

 今月3日の準決勝。優勝候補・大阪桐蔭の西谷浩一監督は延長十二回2死一塁から4番藤原恭大の打席で一塁走者に盗塁のサインを出そうと考えていた。タイブレークに入る十三回を見据え、仮に盗塁死しても次回の攻撃は4番から始められるからだ。結局、監督の意とは裏腹に藤原が初球を左中間にはじき返して三重にサヨナラ勝ち。西谷監督は試合後、「十三回の打順を考え、アウトでもいいから次の球で走らせようと思っていた」と振り返った。

 「足が速くてバントがうまい。タイブレークが採用されたのでベンチメンバーに入れた」。花巻東(岩手)の佐々木洋監督は、背番号「14」の八幡尚稀について、制度を受けてのメンバー選考だったことを明かした。8強入りを決めた彦根東(滋賀)戦の延長十回に代打で出場した「タイブレーク要員」は、貴重な四球を選んで直後のサヨナラ勝ちに貢献した。

 タイブレークは無死一、二塁の状況から始まる。犠打で1死二、三塁として確実に1、2点取りにいくか、強攻で一気に大量点を狙うか。駆け引きが生まれやすい上に、先攻か後攻かで戦い方も変わりそうだ。英明(香川)の香川智彦監督は「後攻は、先攻側の点の取り方で攻め方が限られる。その意味では先攻は犠打も強攻も何でもできる」との考えだ。

 タイブレークの導入は延長引き分け再試合による選手、特に投手への過度な負担を避ける狙いがある。これに対して、日大三(東京)の小倉全由(まさよし)監督は「ベンチ入りの人数枠を増やすことも考えないといけない」と強調。香川監督も「投手の負担軽減を言うなら、まずは(打球が飛びやすい)金属バットから木製に戻す方が先決ではないか」と指摘した。

 今選抜で延長を戦った投手たちはどうか。近江(滋賀)の金城登耶(とうや)は「想定練習をしてきたので心の準備はできていた」と覚悟していた。一方、智弁学園(奈良)戦で延長十回から救援登板した創成館(長崎)の川原陸は「タイブレークのことは忘れていた」などと反応もさまざまだった。

 人為的に点が入りやすい状況を「つくる」ため、勝負の決着方法として納得を得られるかや、記録面でも延長十三回に入った時点で完全試合が認められなくなるなど課題も残る。日本高野連は「健康管理は永遠の課題」とし、タイブレークをゴールとせずに今後もあらゆる方法を模索していく。

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◆平成以降、該当は38試合

 過去をさかのぼると、1989(平成元)年以降でタイブレークが適用される延長十三回に入った試合は夏の選手権大会が14試合で春の選抜大会は24試合だった。

 1大会当たり夏が0.48試合で春が0.8試合。春夏合わせると、3大会に2試合ほどの割合でタイブレークに突入する試合がある計算だ。

 一方で延長戦となった試合のうち十三回に突入したケースは夏が11%で春は23%。昨春の選抜大会では福岡大大濠−滋賀学園、高崎健康福祉大高崎(群馬)−福井工大福井が、2試合連続で延長十五回でも勝敗が決まらず引き分け再試合になったが、大半は十二回までに決着がついている。

<野球のタイブレーク> 試合の早期決着を図るため、得点しやすいよう延長戦で走者を置いた状態からイニングを始めるルールで、高校野球では明治神宮大会や国体などで既に導入されている。「tie(引き分け) break(破る)」の意。春夏の甲子園大会では延長十三回以降の攻撃を無死一、二塁から開始する。

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