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【ふくしま便り】

盛り上がる要請行動 「福島第二原発は廃炉に」

地震の影響で使用済み核燃料プールの冷却装置が一時停止した東京電力福島第二原子力発電所3号機(左から2番目)=昨年11月、本社ヘリ「まなづる」から

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 福島県に、県内の全原発を廃炉にする運動があることを知る首都圏の読者は、少ないかもしれない。福島県内には、事故を起こした東京電力福島第一原発のほかに第二原発がある。第一原発は廃炉作業が進行中だが、第二原発については、県知事、県議会などが再三の要望をしているが、東電は廃炉を約束していない。これも被災七年目の福島に残る不条理のひとつだろう。

 四月二十三日、福島県二本松市で「福島県内の全原発の廃炉を求める会」主催の映画上映と学習講演会が開催された。ドキュメンタリー映画「日本と原発 4年後」が上映され、同映画の監督を務めた脱原発弁護団全国連絡会共同代表の河合弘之弁護士が講演した。

 さらに県在住の作家、玄侑宗久(げんゆうそうきゅう)氏や元福島大学学長の吉原泰助氏らが、原発事故後の県民が背負った苦難などを話した。

 会の事務局の広田次男弁護士は「国のエネルギー計画は福島第二原発の再稼働を前提としてできている。原発事故によりこれほどの被害を受けた福島県で、再び原発が稼働すれば、それは県民にとっての恥辱である」と話した。

 最後に集会アピールとして(1)国および東電は、福島県民に対して、遅くとも来年(二〇一八年)三月十一日までに福島第二原発を廃炉にする旨を約束すること(2)福島県は、国および東電に福島第二原発の廃炉を求める県民集会を開催すること−の二点を決議。「アウシュヴィッツ平和博物館」(福島県白河市)の小渕真理館長がアピール文を読み上げると、約二百五十人の聴衆から大きな拍手が起きた。

 会が結成されたのは一三年十二月十五日。河野太郎衆院議員、吉原毅・城南信金元理事長、映画監督の高畑勲氏、小泉純一郎元首相などを招き、要請行動を繰り返してきた。大会は八回目になる。

 一方、福島県議会は、昨年十二月二十一日に、国の責任で第二原発の廃炉を実現するように求めた意見書を採択し、安倍晋三首相らに届けた。県内五十九の市町村もすべて同様の決議をし、内堀雅雄知事も再三、「県民の総意」として要請を繰り返している。

 なぜ福島県民は、これほどに第二原発の廃炉を求めるのか。東日本大震災では、第二原発の四基も海水ポンプの損傷で除熱ができなくなり、ベントの準備もしたと、後に東電が報告している。復旧が二時間遅れていれば、第一と同じ経過をたどったはずだった。

 また昨年十一月二十二日発生の福島県沖地震では、第二の使用済み燃料プールの水があふれ、一時間半にわたり、冷却が停止した。悪夢の再来かと全県民が震え上がったのは記憶に新しいところだ。

 しかし地元の要請を受けても、国は、判断を東電に委ねたままだ。その東電は先月、「第一の廃炉作業の後方支援として当面は存続せざるをえない」との考えを改めて示した。

 現在、第二原発は汚染水タンクの組立場、作業着の洗浄場所、社員の研修場などに使用しているという。

 廃炉を約束した上で、後方支援の利用ができないわけではない。東電には、さらに誰にでも納得がいく回答を示す義務があるだろう。 (福島特別支局長・坂本充孝)

 

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