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【ふくしま便り】

飼い主待つ被災ペット 動物シェルターSORAから

福島県浪江町で保護したチビにおやつをあげる二階堂さん=福島市で

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 東日本大震災と福島第一原発の事故で避難を続ける人は、福島県だけでもまだ七万人もいる。あの日、人と同じく行き場を失ったペットの犬や猫たちは六年の歳月をどう生きたのだろうか。被災動物を保護している施設を訪ねた。 

 福島市郊外、吾妻山の麓の小高い丘の上にNPO法人「SORAアニマルシェルター」が運営する施設がある。約六千坪の敷地の中に手作りの犬舎や猫のおりが点在し、鳴き声がにぎやかだ。 

 代表理事の二階堂利枝さん(45)によると、現在、保護しているのは犬十九匹、猫二十匹、シャモ一羽。常駐のスタッフ三人が、ボランティアの助けを借りながら、餌やりや清掃、散歩など世話を続けている。

 捨て犬や捨て猫を保護する施設は全国にあるが、SORAが特異なのは、被災ペットがほぼ半数を占めていることだ。

 「3・11」の直後、二階堂さんは、動物愛護の仲間たちとともに被災地域に入り、置き去りにされたペットを救出した。

 「無人の町を放浪している犬が何匹もいました。そんな犬たちは、私たちの姿を見ると、自分の家に連れていってくれるんです。そこで初めて餌を食べる子もいました」

 雌犬のチビ(推定十五歳)は、浪江町の牛舎につながれているところを発見された。

 飼い主が見つかり、連絡を取ったが、飼い主は「しばらく預かってください」と言って電話を切った。以来、六年間、ここで暮らしている。当初は子宮に病気があり、ろくに餌も食べなかったが、手術をして回復し、今は食欲もあるという。

 一緒にいた若い雄犬のコロは心臓病で死んでしまった。

 ひときわ人懐っこいエル(雄、推定十歳)は、飯舘村の住民から託された。同村の避難指示は今年四月に一部解除となったが、住民は帰村の道を選ばないようだという。エルを引き取る話もいまのところはない。

 被災ペットには、共通する特徴があるという。

 「広い家の庭先で番犬として飼われていたのか、よくほえます。人見知りする子も多い。つらい経験をしてきているのかなと想像します」

 そんなペットたちに、新たなよい飼い主を見つけてあげるのが、二階堂さんたちの当面の目標だ。

 毎月第三日曜日に説明会を開催し、希望者に犬を引き合わせる。最低でも数回はボランティアに通ってもらい、犬との相性や飼い主がどれほど本気であるかなどを確かめる。晴れて“親子”が成立するまでに数カ月もの時間がかかることもある。

 最近ではラブラドール種のクロ(八歳)が東京に引き取られていった。「被災地の福島の子だから」と特に希望して引き取ってくれる人もいるそうだ。

 動物愛護の関心は高く、ボランティアは年間で延べ五百人を超えることもある。一方で人件費、去勢手術代など年間で一千万円にもなる運営費のやりくりには頭を抱える日々だという。

  ×  ×  ×

 SORAアニマルシェルターの連絡先は、〒960 2261 福島市町庭坂字富山147の1=電024(529)6267、Eメールfukushimasora@hotmail.co.jp 

  (福島特別支局長・坂本充孝)

 

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