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【ふくしま便り】

若い力と知恵を求む 南相馬市で地域おこし協力隊募集

「復興には若い力が必要だ」と話す星さん。民宿「いちばん星」のアイドル、アルパカと=福島県南相馬市で

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 東日本大震災、東京電力福島第一原発事故で大きな痛手を受けた福島県南相馬市が初の地域おこし協力隊員を募集している。業務内容は、市内に点在する農家民宿の企画PRと、一度は全域避難で無人となった同市小高区のコミュニティーづくりの二つ。三年間の期限で国から給料が支給され、住宅なども用意される。市では「単なる手伝いではなく、将来はリーダーとして地域を支える人に育てたい」と大きな期待を寄せている。

 南相馬市原町区にある農家民宿「いちばん星」を訪ねた。オーナーの星巌(いわお)さん(62)は、元市職員で震災当時は避難所を担当していた。津波の被害に原発事故が追い打ちをかけ、被災者はあふれ返った。眠る間もないような日々が続いたが、充実感を覚えるときもあった。それは、地元の仲間や全国から来た支援のボランティアらと心を通わすときだったという。

 傷ついた古里をもう一度立て直す。その一念で「いちばん星南相馬プロジェクト」を立ち上げた。震災の翌年、役所を退職すると自宅を使って農家民宿を開業した。ボランティアの宿舎を確保する目的もあったが、それ以上に地域の核となる場所が必要だと痛感したからだ。

 民宿「いちばん星」には、市内の農家民宿七軒でつくる「かあちゃんの会」も事務局を置いている。星さんによると、地域おこし協力隊は、こうした農家民宿の活性化プランの策定に携わることになるという。

 いちばん星の場合でいえば、藍染めや乗馬体験などがリピーター客の人気となっている。庭にはアルパカやヤクシカの飼育場もあり、子供たちが遊びに来ることもある。敷地内にカフェも建築中だ。こうしたプランをより充実させるために若い知恵が欲しいのだという。

 「避難したまま帰らない人は多い。それを嘆く人もいるが、私は、むしろ新しい人を呼び込むことの方が大切だろうと思う。新しい南相馬市をつくればいい」と星さんは話す。

 もうひとつの募集業務は、小高区の地域再生だ。原発から二十キロ圏内に入った小高区は、事故直後に警戒区域に指定され、昨年七月に避難指示解除になるまで無人の町になった。この町に人の活気をとり戻す。

 大阪市出身のコンピューターエンジニア、森山貴士さん(30)は二〇一四年七月から同区に入り、起業の道を模索してきた。今、取り組んでいるのが駅前のカフェつくり。JR常磐線が回復し、区内にある高校も再開した。ところが高校生たちが通学途中に立ち寄るような場所がない。そこで駅前にキッチンカーを出し、コーヒーの提供を始めた。こうしたアイデアを出し合い、活動する若い人が十人ほどいるが、地域おこし協力隊員も加わることになる。

 「すべてがゼロから始まる。こんなに夢のある場所はない。自分の腕試しをしたいというパワーのある人材に来てほしい」と森山さんは話す。

 地域おこし協力隊は総務省所管事業で受け入れ自治体は全国で八百以上。勤務期間は三年間の期限があるが、南相馬市復興企画部では「期間終了後も地域に残ってもらえればありがたい。そのために期間中に起業への下準備を進めるなどしてほしい。こちらも全力を挙げてサポートしたい」と話している。

 勤務条件、応募要件など詳細の問い合わせは南相馬市復興企画部の移住定住推進担当=電0244(24)5269=へ。 (福島特別支局長・坂本充孝)

 

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