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【ふくしま便り】

イチエフ廃炉 ゴールは遠く 新固体廃棄物貯蔵棟が完成

完成した固体廃棄物貯蔵庫第9棟の地下1階部分=福島県双葉町・大熊町で(代表取材)

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 未曽有の事故から丸七年を迎えようとする東京電力福島第一原発(イチエフ)。廃炉作業が粛々と続くが、道のりは遠く険しいのが現実だ。立ちはだかる壁の一つが、原発の構内に残る放射線量の高い「汚染ごみ」の存在。今月八日、汚染ごみのうち、がれきなど固体廃棄物を保管する新しい貯蔵庫が報道関係者に公開された。ここから見えてきたイチエフの今を報告する。

 公開されたのは、廃炉作業で出た高線量のがれきなどを保管するため、構内に新設された「固体廃棄物貯蔵庫」の第九棟。今月一日に運用が始まり、近く実際にがれきなどが搬入されるという。

 「固体廃棄物貯蔵庫」は事故前に八つの棟が建設されていたが、収容量が十分ではなく、現時点で約二十一万立方メートルの高線量廃棄物が屋外にシートをかぶせるなどして一時保管してある。新設の第九棟は、約六万千二百立方メートル(二百リットル入りドラム缶で約十一万本相当)の収容量があり、野積みの廃棄物の約三分の一を収容することができる。

 建物は地下二階、地上二階建ての鉄筋コンクリートで、廃棄物の表面線量に応じて保管場所が変わる。毎時三〇ミリシーベルト超は地下二階、同三〇ミリシーベルト以下は地下一階、同一ミリシーベルト以下は地上一階、同〇・〇五ミリシーベルト以下は地上二階で保管。最大で同一〇シーベルトまでの廃棄物が保管できるという。

 気になるのは、放射線の遮蔽(しゃへい)効果だが、建物の壁は二十センチから六十五センチの厚みを持たせたという。

 担当の大渕一輝・建築廃棄物対策グループ課長は「空調にフィルターを設けて放射性物質濃度を定期的に測定し、敷地境界の空間放射線量が年間一ミリシーベルトを超えないように監視する」と説明した。

 東電は、同様の貯蔵庫を十三棟まで増設する予定。しかし廃棄物の最終的な処理方法は未定で、あくまでも中間貯蔵場所という位置付けとなる。廃炉工程表「中長期ロードマップ」では、二〇二一年度ごろに処理・処分の方策を示すとしている。

 しかし、この貯蔵庫は、ただの倉庫ではない。そう実感させられたのが、搬入方法の説明を受けたときだった。

 高線量廃棄物が収容される地下階では、遠隔操作で動く無人のフォークリフトを使用。比較的低線量の地上階でも、運転席を完全密閉したフォークリフトを使う。つまり運用が始まれば、安易に近づける場所ではなくなる。

 今回の報道公開で、参加者は薄い化学防護服にマスク、ヘルメットなどを着用した。この程度の簡易装備で歩けるGゾーンエリアが、構内の95%を占めるまで広がったという。このGゾーン限定の視察団が連日、訪れるようになり、高校生など十八歳未満の見学も解禁となった。

 しかし原発建屋周辺のYゾーン、原子炉周辺のRゾーンでは、線量が非常に高い。こうした労働現場で日々、五千人の東電社員や協力会社の作業員が廃炉作業に携わっている。これがイチエフの今の姿だ。 (福島特別支局長・坂本充孝)

 

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