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【ボクとママの放射能教室】

米作りとセシウム 雪解け水 影響未知数

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 「ただいまあ、ママ、突然だけど、雪国はつらいよ条例って知ってる?」

 「なあに、それ、寅(とら)さんのパクリ?」

 「ちょっと前の社会の教科書に、そういうのがあるって書いてあったんだ。ほんとは雪国はつらつ条例っていうんだけど」

 「そりゃまた歴史に残るミステークねえ。雪国はつらいよ。なんだかいろんな意味で、福島のことみたいねえ。雪解けで山にたまった放射性セシウムが田んぼに流れ込んでくるって心配されてるよ」

 「稲がセシウムをすーって吸い取りそうだなあ」

 「まあね。土に入ったセシウムは、作物にはなかなか吸収されないけれど、水にとけたセシウムは、よく吸収されるらしいね」

 「セシウムごはんはあまり食べたくないな」

 「でしょ。去年の秋に収穫したとき、セシウムの濃度がとくに高かったところは、ことしは稲を作ってはいけないことにしたのね。福島県で米作りをしていたところの一割ちょっとは、ことしは作らない。でも問題は中くらいにセシウムが出たところなの」

 「中くらいって?」

 「四月から食品の基準が厳しく変わったよね。一キログラムあたり一〇〇ベクレル以下にしなくてはいけないんだけど、去年のコメが一〇〇ベクレルから五〇〇ベクレルだった田んぼで、米作りをやるべきかやめるべきか、議論になったのよ。食べる方の消費者は心配するし、一方で作りたい人もいる。お役所は困ったから、地元にどうしますかって相談したら、一つの村以外は全部作りたいって言ってきたわけ」

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 「大丈夫なの?」

 「条件つきだからね。収穫の後、全部の米袋を検査して、セシウムが基準値以下かどうか、調べることにしているの。どうなるかは作ってみなくては分からないっていう感じね。事故直後のように田んぼにセシウムが降り注ぐことはないだろうけれど、用水からの吸収がどれくらいになるか分からない。田んぼごとに状況は違うしね」

 「そんなお米、売れるの」

 「消費者の見方は厳しいよ。牛肉に関するアンケートでは、セシウムが少しでも検出された食品は売るべきではないという項目に、半分以上が『そう思う』『どちらかというとそう思う』と答えているの。この前教えてあげたみたいに、セシウムのベクレル数を合計して、十万分の一・三をかけてミリシーベルトに換算すれば、体にどの程度の影響があるかは見当がつくんだけれど、そんな消費者いるかなあ」

 「電卓がいるね」

 「福島では涙ぐましい努力をしているんだな。田んぼのカリウムを多くすればセシウムの吸収が少なくなるとか、ため池から水をとるときは表面から取水しましょうとか。それで都会の消費者の不安がなくなるかといったら、難しいかもしれないね」

 「早く『つらいよ』が『はつらつ』に変わるといいね」

 

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