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【先生 ウチは揺れますか! 東大地震研・大木聖子の日誌】

マグニチュードって? 1増すと断層長さ3倍に

マグニチュード8になると、断層の面積は千葉県ほどになるんです

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 きょうの午後は学会発表の資料をまとめようと思っていたら、またまた新聞記者の真下君が駆け込んで来ました。いつもながら切羽詰まったようす。

 「お昼は避けましたけど、忙しそうですね。ちょっとだけいいですか」

 「またデスクにおこられたのね」

 「はい。マグニチュード(M)の値は何を意味するのかと聞かれて説明できなくて。地震の規模を示す数字ですと答えたら、規模ってなんだ?って。規模はエネルギーの大きさですと答えたら、もっと分かんねえよ!と」

 「今日のデスクは関西の人じゃないのね。とはいっても、いきなりエネルギーなんて、ちょっと難しいでしょ」

 「じゃあどうすれば…」

 「そうね。じゃあ、地震はどうして起こるの?」

 「え? 断層が起こすんでしょ?」

 「うーん惜しいわね。じゃあ断層はどうしてできるのかしら?」

 「岩板がズレるから…」

 「地下の岩板に大きな力がかかって『バリバリッ』っと一気に割れてズレたのが断層なのよ」

 「そうか。断層は岩板の古傷ってことですね」

 「そうなの。マグニチュードは傷の大きさに関係あるの。Mが1増すと、断層の長さが三倍になって、ズレる量も三倍になるのよ」

 「?」

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 「おおまかに言うと、M8級の地震だと断層の大きさは百キロ×五十キロぐらい。それが約五メートルズレるの。M7級だったら三十キロ×十五キロぐらいの断層が約一・五メートルズレるわけ。M6級なら十キロ×五キロが五十センチズレるのね」

 「わかった! M5の断層は三キロ×一・五キロで、十五センチほどズレるんですね。M4なら一キロ×五百メートルが五センチ、M3は三百メートル×百五十メートルが一・五センチぐらい! マグニチュードが大きいのは、広い面積が大きくずれたということか。揺れの範囲と激しさを示すんだ」

 「分かってきたわね」

 「待ってください。(プププと携帯を操作)自慢のスマホで調べたら、M8級の断層の面積は千葉県と同じぐらいありますよ! M7級の断層だって東京の二十三区ぐらい。首都直下地震って、こんな大きな断層が割れるんですか!」

 「東北地方太平洋沖地震は断層の大きさが四百八十キロ×百五十キロ。それが平均十メートル以上もズレたんだから。巨大さが分かるでしょ」

 「これならデスクにも理解できそう! ところで断層が割れるときバリバリ音がするんですか?」

 「地震にも『音色』があるって知ってる?」

 「ええっ! ほんとですか。でも、その話を聞くとマグニチュードの説明を忘れちゃいそう。また明日来ます」

 「うん。でも明日じゃなくてもいいのよ」

<用語の解説>

 【デスク】現場の記者に指示を出したり、原稿を手直ししたりする役割の記者。物分かりが悪いフリをして後輩を教育するが、本当に分かっていないことも多い。

 【断層と地震】地震が発生する場所は大きく二つに分けられる。プレート境界とプレート内部だ。プレートとは地球を覆う十数枚の岩板のことで、それぞれが勝手な方向に動いている。2枚のプレートがぶつかると、こすれ合って地震を起こす。その摩擦する面がプレート境界の断層だ。東日本大震災は、太平洋プレートと北米プレートがこすれ合う面で起きた。

 一方、プレートが強くぶつかり合って押し合ううちに、プレート自体にひびが入って地震が起こる。そのひび割れがプレート内の断層だ。阪神大震災を起こした野島断層はその典型。いわゆる「活断層」はプレート内の断層を指す。

 

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