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【先生 ウチは揺れますか! 東大地震研・大木聖子の日誌】

新しい都市の弱点 超高層ビル 急傾斜地の住宅

日本のようにプレートがぶつかる場所は地震が多いのです

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 今日は海外テレビ番組の取材を受ける日。カメラが回る前に、ディレクターと打ち合わせをしています。

     ◇

 「キョウハ、ヨロシクオネガイシマースネ」

 「こちらこそ」

 「サトーコ。ナゼ地震ヲ研究スルコトニ、ナリマシタデスカ」

 「高校生のとき阪神大震災が起こり、被害の大きさに驚いて。それで地震を研究しようと決めたんです」

 「ニホンハ地震ガ多イデスカラネ」

 「世界の地震の10%が日本とその沿岸で起きています。面積では海(排他的経済水域)を合わせても世界の1%にしかならないのに」

 「10回ニ1回ハ、ニホンデ起コルノデスネ」

 「世界のマグニチュード(M)5以上の震源分布の地図を見せましょう。ほら」

 「オー! 震源マークニ隠レテ、ニホンノ陸地ガ見エマセン」

 「だから、なんとか被害を減らしたいと思ってるんですよ」

 「サトーコ、アメリカニモ、イマシタネ?」

 「カリフォルニアのスクリプス海洋学研究所で一年半、研究していました」

 「アメリカ、地震スクナイヨ。地震ノ起コル国ニ、ナゼワザワザ帰ッタノデスカ」

 「(余計なお世話よ!)日本はいい国ですよ。プレート同士がぶつかる場所にあるから地震や火山噴火は多いけど、そのぶん風景は変化に富んでて美しいでしょ」

 「ソウネ! スシモ、アリマスカラネ。キノウモ食べマシタ。ウニ、大好キデース」

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 「それに、地震が起こることと災害が起こることはイコールじゃないんです。地震を止めることはできないけど、災害は減らせます」

 「スキヤキモ、大好キデース! 銀座イキマシター」

 「…」

 「ギンザ、ロッポンギ、大好キデース。東京ハ、世界有数の大都市デス。地震トイウ『ハンディ』ヲ背負イナガラ日本ハ、ナゼ、コンナニ成長シマシタカ。ホワ〜イ?」

 「もちろん、日本人が一生懸命に働いたのもあります。でも、もうひとつ。この五十年ほどは大地震が少なかったのですよ」

 「オー、戦後ノ成長期」

 「特に首都圏では、大きな地震にほとんど遭わなかったのです。その間に多くのビルや住宅が建ち、道路や港が整備されました。それだけに地震のときどうなるのか」

 「気ニナリマスネ」

 「地震は、その都市の弱点を確実に突いてきます。急傾斜地の近くまで宅地が広がり、湾岸の造成地も増えた。超高層ビルもできた。過去にない形の被害が出る。それを知ってもらいたいんです」

 「重要デスネ。番組デモ伝エマス。デハ収録シマショウ。ビデオOK? スタート」

 ・・・・

 「キョウハ、ドクターオーキニ、話ヲ聞キマス。アナタハ、ナゼ、コンナニ地震ガ多イ国ニ住ンデイルノデス?」

 「余計なお世話よ(うわ、言葉に出てしまった!)」

 「カット! カット!」

<用語の解説>

 【首都圏の地震被害】東日本大震災までの過去50年間で、首都圏で死者が出た地震は1987年の千葉県東方沖地震(M6.7、死者2人)と2000年の三宅島噴火に伴う群発地震(死者1人)。なぜ大地震が少なかったのか。偶然か理由があるのかは分からない。ただ、東北地方太平洋沖地震に伴う地殻変動で、東日本の地盤にかかる力が大きく変わった。いつ大地震が起きても不思議はないとの考え方が、ますます必要な状況だ。

 【新しい都市の弱点】ここ10年ほどで発達した地盤や建物の揺れシミュレーションの結果、長周期地震動による超高層建物の被害が想像以上に深刻になる可能性があると指摘され始めた。また、この50年で急傾斜地の近くまで住宅地が広がったため、東京都では危険度の高い場所から斜面を崩れにくくする工事を進めている。

 

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