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【ニュースあなた発】

道路脇に「黄金のペットボトル」用済みをポイ捨て!? 「トラック運転手がトイレ面倒と…」

大型車両が行き交う道路沿いに捨てられた「黄金のペットボトル」=川崎市川崎区で(嶋邦夫撮影)

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 「黄金色の液体が入ったペットボトルを幹線道路周辺でよく見かける」。東京都江戸川区の自営業の男性(49)から本紙編集局にこんな調査依頼が届いた。「尿だと思う」という男性は運転中に見るたびに不快な気分になるという。首都圏の道路はどうなっているのか? 黄金のペットボトルを取材した。(山本哲正)

「幹線道路でよく見る」調査依頼を受けて取材すると…

 まず男性がよく見かけるという埼玉県三郷市の国道298号を歩いてみた。確かに県道との交差点近く、車道と歩道を隔てる遮音壁の車道側に、不審な五百ミリリットルのペットボトルが二本転がっていた。歩行者が入るとは考えにくく、信号待ちなどの車からのポイ捨てだろうと思われる。

 ラベルには「コーヒー」とあるのに液体は透き通った薄茶色。飛び散ることを警戒して慎重にふたを開けると、尿のにおいがした。通り掛かる人も少なく、地域の住民には「気づかなかった」という人が多い。

幹線道路沿いに捨てられた「黄金ペット」=埼玉県三郷市で

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 だが、長年迷惑を被っている地域もある。物流センターや倉庫が林立する川崎市臨海部の東扇島地区(川崎区)の市道沿いは常設ごみ置き場と見まがう汚さ。わずか二十メートルの間で「黄金ペット」らしき液体八本を発見した。中央分離帯の植栽部でも、不審なペットボトル十四本が遠目にも見えた。ほとんどが五百ミリリットルのボトルのようだが、二リットルボトルも三本ほどあった。

 ちなみに回収した「黄金ペット」を民間分析機関「分析センター」(東京都千代田区)で調べてもらうと、確かに尿素を検出。「尿と考えられる」との結果だった。

〈左〉「黄金ペットボトル」の調査報告書の表紙 〈右〉尿素に反応する試薬で検査したところ、陽性反応が出た

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 東扇島の事業所で働く男性職員(63)は「十年ほど前から年に五、六回ほどトラック運転手が『黄金ペット』を捨てるのを目撃している」といまいましそうに話す。五年ほど前、見るに見かねて運転手を問い詰めると「トイレに行くのが面倒くさい」と言われたという。

 周辺の清掃時、キャップを開けた瞬間に破裂するように飛び散った尿をかぶった川崎市職員もいた。このため、市は昨年十月から、東扇島で中央分離帯の植栽を取り除き、ポイ捨てをしにくくする対策を試行している。「黄金ペット」の投棄問題は国も把握。首都圏各地に投棄されていることから、国土交通省も二〇一〇年ごろから国道の中央分離帯などに防止ネットや柵を設ける対策を進めるが、いたちごっこが続いている。

不法投棄に悩む川崎市の臨海部

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◆過酷な運送業界 トイレも寄れず

 ペットボトルに尿を入れた「黄金の液体」のポイ捨ては、首都圏を中心に各地で問題となっていた。国土交通省の委託を受けて道路を清掃する業者らは「年中落ちている」と閉口する。マナーの悪さは論外としても、調べると、トイレに行く間もない運送業界の厳しい現実も垣間見えてくる。

黄金のペットボトル「月1回の清掃で60本」 業者ら「爆弾」に閉口

 不快な「黄金のペットボトル」はどのくらい捨てられているのか。

 東京都葛飾区の国道298号で清掃していた男性作業員は「月一回の清掃で、約十三キロ区間に六、七十本出てくる」。埼玉県三郷市を担う業者も「月数十本」。千葉県の国道約百キロ区間を月一回清掃する業者も「毎回三十〜五十本ある」と明かす。

 高速道路もポイ捨て多発地帯だ。NEXCO(ネクスコ)東日本は「主にパーキングエリアから本線への加速車線周辺で、週三回の清掃で一回当たり八本ほど見つかる」と嘆く。

 東京都江東区新木場の東京ヘリポート前で、関連事業所の人々が先月三十日に行ったボランティア清掃でも十本近く見つかった。二〇〇六年の開始当初からすでにあったという。航空商社「海外物産」の番本(ばんもと)真澄さんは「最初はお茶だと思って、回収業者のために中身を流しておこうとキャップを開けたら異常なにおいがしたんです。ショックで『爆弾』と呼ぶようになった。家まで持ち帰ってほしい」と眉をひそめる。

幹線道路に投棄された「黄金のペットボトル」

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大型が止められるコンビニ駐車場少なく「都市部ではトイレ探しに困る」

 誰が捨てているのか。川崎市の東扇島ではトラック運転手による投棄が目撃されているが、周辺で取材すると当の運転手たちも「トラック運転手と思うよ」と口をそろえた。

 宮城県の五十代の男性運転手は「届け先に到着が遅れたときに『トイレに寄ったから』と言い訳したら、同業者から『車内でペットボトルにすれば遅れない』と助言された」という。

 別の福岡県の男性運転手は車内にペットボトルを常備。「二〜三時間渋滞するとペットボトルに用を足すことになる。でも、中身はトイレに流している」と話す。

道路沿いのごみを拾うボランティアら。不快な「黄金ペット」に閉口している=東京都江東区で

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 神奈川県トラック協会も「黄金ペット」の投棄に頭を痛め、ゴミのポイ捨てを戒める啓発チラシをつくり、全国のドライバーにゴミのポイ捨てを控えるようよびかけている。

 同協会の高梨信広・交通環境委員長は「トラックは荷主の時間指定に遅れることのないよう、早めに到着して近くで待機するが、都市部では大型が止められるコンビニ駐車場などが少ない。地方から来て、地理に明るくない運転手はトイレ探しに困ることになる」と説明する。荷主に有料道路料金を負担してもらえない場合もあり、規模の小さな会社の運転手は一般道を選ぶしかないという。「運転手の労働環境も大切で、改善には荷主の協力が欠かせない」(高梨氏)

 「黄金ペット」の裏側には、ドライバーを取り巻く厳しい現状が横たわる。ただ、路上投棄が免罪されるわけはない。廃棄物処理法違反に当たる可能性があり、誰の尿か分からない以上、感染症の恐れも出てくる。川崎市健康安全研究所の小児科医三崎貴子さんは「液体の入ったペットボトルで子どもが遊ぶこともある。外に放置しないでほしい」と訴えている。

 

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