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【東京新聞フォーラム】

「トップアスリートスポーツフォーラム スポーツのチカラ」

スポーツや五輪について語り合う杉山愛さん(右)と吉原知子さん(中)。左は東京新聞運動部長の鈴木遍理=東京都渋谷区の東京体育館で

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 東京新聞フォーラム「トップアスリートスポーツフォーラム スポーツのチカラ」(東京新聞、東京都スポーツ文化事業団、東京都主催)が一月二十四日、東京都渋谷区の東京体育館第一会議室で開かれ、元全日本女子バレーボール代表吉原知子さん(45)、元プロテニスプレーヤー杉山愛さん(39)が五輪、生涯スポーツとのかかわりなど、約百五十人の来場者を前に熱のこもったトークを展開した。 (司会・鈴木遍理(とおみち)東京新聞運動部長)

◆都スポーツ文化事業団 大平久夫スポーツ事業担当部長

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 本日はトップアスリートのお二人の経験を踏まえたスポーツの魅力を語っていただきます。みなさまのスポーツへの関心を高め、ご自身のスポーツライフ充実に役立てていただけたらと思います。東京都としてもスポーツが定着し、都民の健康・体力の向上とともに、スポーツ実施率70%実現につながるよう期待しております。どうぞ素晴らしいゲストと楽しい時間をお過ごしください。

◆東京新聞代表 仙石誠

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 この会場、東京体育館は1964年の東京五輪では体操の会場でした。今でもテレビで熱心に観戦した記憶が鮮明に残っています。2020年の東京五輪では、ここは卓球会場になります。本日は世界で活躍された女性トップアスリートのお二人に来年に迫ったリオデジャネイロ五輪、そして東京五輪、生涯スポーツについても語り合っていただきます。

◇杉山愛さん「応援が選手の力引き出す」

 鈴木 吉原さんはバルセロナ(一九九二年)から三度、杉山さんはアトランタ(九六年)から四度、五輪に出場していますが、接点はあったのですか。

 吉原 当時はなかなか会うこともなく、引退してからなんですよ。

 杉山 引退した女子選手の集まりで「女子アス(リート)会」というのがあるんですが、吉原さんとはよく会うようになりました。サッカーの澤(穂希(ほまれ))さん、Qちゃん(マラソンの高橋尚子さん)たちも一緒です。

 鈴木 バレーボール、テニス、お二人のスポーツとの出会いは。

 吉原 北海道の妹背牛(もせうし)町という小さな町で小学校の時は野球、サッカー、スキーに雪合戦と何でもやってました。近くの中学が全国大会の常連だったこともあり、バレーを始め、春の高校バレーへ出場もしましたが、既に高校は廃校に。バレーが町の名物となっていた面もあり、町民もがっかりしていました。

 杉山 両親の関係で四歳からテニスを始めましたが、当時は体操、クラシックバレエ、水泳と習っていて七歳の時にテニス一本に。でもいろんな運動をやっていたのは今に生きていると思う。

杉山愛さん

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 鈴木 スポーツをやっていて良かった点は。

 吉原 バレーは一人じゃ結果を出せない。チームメートみんなで結果を残せたのは財産です。また、杉山さんや、ほかの競技の選手と知り合うことで、いろんなヒントが得られています。

 杉山 テニスは個人競技です。でもスタッフ、家族をはじめ多くの人に支えられていました。世界ツアーに出て異文化、国民性の違いに直面しても、イライラせずにベストパフォーマンスを発揮できたのは、良い経験でした。

 鈴木 海外で活躍する秘訣(ひけつ)はあるんですか。

 吉原 イタリアで感じたのは自分をさらけ出して意見をはっきり言うことが重要という点。洋服とかメニューを決める時に「杉山さんと同じで」じゃだめなんです。日本では「奥ゆかしさ」かもしれないが、海外では通用しない。

 杉山 国によってはアバウトな人が多いんですが、イラッとせずに、そこは鈍感力を発揮、柔軟さが必要です。

 鈴木 そういえば、杉山さんはグランドスラム(世界四大大会)六十二回連続出場というギネス記録を持ってますね。

 杉山 一年間のうち二百五十日は海外でホテル暮らし。移動を繰り返し、コンディションを整え、調整していくには常に自分の体と心に向かい合うことが大切でした。

 吉原 バレーも連戦続き。私もコンディションづくりが重要だと思います。自分の好調時の映像をパソコンで繰り返しチェックするイメージトレーニングを今の現役選手はやっていますね。

 杉山 私も現役後半、イメトレを導入、頭に対戦相手を想定して良いプレーのイメージを植え付けていました。ミスのイメージは頭に残りやすく、残っていると成長しないんです。

 吉原 バレーでもそうなんです。一人がミスして弱気になると、チーム全体に伝染するんです。「ボール来るな!」とか。調子いい時は「いつでも来いっ!」なんですけど。

◇吉原知子さん「世界でプレー 語学も大切」

吉原知子さん

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 鈴木 海外ではコミュニケーション能力も重要です。

 吉原 二十五歳でイタリアに渡り、語学の大切さを感じました。これからは選手もどんどん語学が必要になるでしょう。

 杉山 世界ツアーでメディアのインタビューを英語で普通に受けられなくては、肝心なゲームでディスアドバンテージ(不利)になると思った。と言っても私の英語は結構はったりですが。大事なのは自分の口で相手に向かって話すことでしょう。

 吉原 外国人だって完璧な語学力を求めているわけではないんですよね。語学だけでなく、米国のジュニア世代はメディアへの受け答えを学ぶトレーニングも受けているようですね。

 杉山 いくら自分が良いパフォーマンスをしてもメディアが伝えなければ、誰にも知られない。テニスの世界ツアーのルーキーはメディア対応などの講義受講が義務付けられています。

 吉原 (前回の東京五輪で女子バレーの金メダルを獲得した)中村(旧姓・河西)昌枝さんの「自国開催は違うわよ」の言葉を思い出しました。二〇二〇年も必ずみんなの脳裏に残る大会にしなくては。

 鈴木 パラリンピックへの取り組みも注目されています。

 吉原 障害のある人たちにバレーを教えに行ったことがあります。装具などに課題も多いと聞きますが、引き続き指導などで力になっていきたいと思います。

 杉山 車いすテニスでは国枝慎吾さんや上地結衣(かみじゆい)さんら世界的プレーヤーがいます。私は東京五輪のアスリート委員会でも活動していますが、やはり会場間の輸送やコンディション調整などで課題はある。東京ならではの最先端の対応をしてほしい。

 鈴木 ここで生涯スポーツに対する意見を。

 吉原 飼い犬を近くの河川敷で散歩させると、朝早くからランナーであふれています。ジムに行けば、広い世代の人が体を動かしています。まず体を動かす楽しさを知っていただきたいと思います。

 杉山 茅ケ崎(神奈川県)でテニススクールを二十年間開いています。若い人が錦織(にしこり)(圭)君の活躍で始めていますが、実際は年代は上がっています。六十歳で入会した人が八十歳でも頑張っていますよ。大事なのは年とは関係なく、それなりに楽しむことだと思います。

 吉原 スポーツを楽しむ方は活力になりみなさんお若く見えます。ただ、けが防止のためウオーミングアップを十分に。

 鈴木 スポーツは観戦も大きな楽しみです。

 吉原 私は観戦すると感情移入して自分も戦ってしまいます。最近では箱根駅伝に熱中しましたが、応援は選手にとって一番の支えとなります。

 杉山 選手目線としては注目され、応援を受けると、持てる力以上のパフォーマンスを発揮できるんです。見る側もルールや選手の情報を詳しく知ってもらえれば、より見るスポーツが楽しくなるはずです。

 <すぎやま・あい> 1975年、神奈川県生まれ。17歳でプロ転向、世界四大大会で4度のダブルス優勝経験を持ち、世界ランク最高位はシングルス8位、ダブルス1位。4度の五輪出場を果たす。現在はスポーツキャスターなど幅広く活動。

 <よしはら・ともこ> 1970年、北海道生まれ。2004年アテネ五輪で主将を務めるなど3度の五輪出場を果たす。95年にはイタリア・セリエAに参戦。06年に現役引退し、現在はテレビ解説や日本バレーボールリーグ(Vリーグ)機構理事を務める。

 

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