東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 東京新聞フォーラム > フォーラム一覧 > 記事

ここから本文

【東京新聞フォーラム】

「北陸新幹線開業カウントダウン 近くなった北陸へGO!」

熱心に話を聞く大勢の来場者=2月21日、東京都墨田区の江戸東京博物館で

写真

 十四日に開業が迫った北陸新幹線をテーマにした東京新聞フォーラム「北陸新幹線開業カウントダウン 近くなった北陸へGO!」が二月二十一日、東京都墨田区の江戸東京博物館で開催された。参加者約四百人がゲストの鉄道ファンで知られるフリーアナウンサー福澤朗さんの楽しいトークと北陸新幹線の設計・製造に携わった川崎重工業執行役員小河原誠さんが明かす設計秘話などに熱心に耳を傾けた。フォーラム後半には富山、石川、福井の北陸三県の観光専門家が地元の魅力を発信、越前ガニや伝統工芸品、有名温泉ホテルの宿泊券が当たる抽選会も行われ、会場は大いに盛り上がった。

【主催者あいさつ】東京新聞代表・仙石誠

写真

 いよいよ北陸新幹線開業がカウントダウンに入りました。東京から富山まで最短で二時間八分、金沢までは二時間二十八分と本当に近くなります。本日はそんな北陸新幹線についてみなさんと考えようという企画です。設計や製造にはいろんな苦労があったことと思います。また後半は北陸三県の観光の専門家が北陸の魅力を披露します。存分にお楽しみください。

【対談】川崎重工業執行役員・小河原誠さん×フリーアナウンサー・福澤朗さん

 福澤朗さん 北陸新幹線にジャストミート! 鉄道を見るのも、飲みながら乗るのも好きな福澤です。会場のみなさんの中に既にチケット持っている人もいるのではないですか(会場から「金沢までの三番列車を買った」の声)。本日のテーマ、製造秘話は鉄道好きにはたまらない話です。私も眠れないくらい楽しみにしてました。早速、川崎重工業の小河原さんに登場願いましょう。この方が製造したんです。もちろん一人ではないのですが。自身で設計した車両が走っているのを見るのはどんなお気持ちですか。

小河原誠さん

写真

 小河原誠さん 仕事はつらいことが多いですが、車両が世に出た瞬間、つらさは吹き飛びますね。川崎重工業は航空機、オートバイ、エネルギープラントなどの事業部門があるのですが、私は入社後、東北新幹線の200系で設計人生がスタートしました。

 福澤 北陸新幹線のE7/W7系車両のコンセプトは。

 小河原 デザインコンペがあり、JR側から「洗練さ」「ゆとり・解放感」などのテーマを受けました。実は、われわれとしてはその以前から「和の未来」という言葉を考えており、JR側の提案に近いものがありました。そこで「和」を普通車、グリーン車、(最上級の)グランクラスに当てはめていったのです。

 福澤 新幹線といえば、先頭車両のデザインですが。

 小河原 たくさんのアイデアがありました。中でも銅色(カッパー)をテーマに打ち出しました。デザイナーのこだわりでもあり、銅色とシルバーなどを提案、最終的に「北陸の青い空」をイメージしたブルーと銅色を採用しました。これはデザイナーから言われたのですが、車両の斜め前から見て、銅色のラインをなぞると、車両の形になっているんですよ。

車両を造り上げた川崎重工業のみなさん

写真

 福澤 みなさん、駅に行ったら先頭車両の銅色のラインを必ず見てください。それからグランクラスは乗ってみたいですね。お酒飲み放題で、二時間余あれば、元が取れるのでは(笑い)。

 小河原 シートの色は雪をイメージした白なんですが、当初は別の案もありました。デッキの部分は加賀の伝統工芸にちなみ、輪島塗の赤を使い、四季を表現しました。伊・フェラーリのデザインを手掛けた世界的工業デザイナー奥山清行さんが監修しています。

 福澤 設計の話をお聞きします。新幹線がトンネルに差しかかった際の衝撃音、「トンネル・ドン」にも対応されたそうですね。

 小河原 車両により、トンネル内の空気が押されるため、その圧縮波がトンネル手前で減るように地上部分には(圧縮波が抜ける)緩衝(かんしょう)工を設け、車両側の対策として先頭車両の断面積を小さく、先端部分を長くするのがよいのですが、半面、客室スペースが減るので、先頭の断面積の分布を工夫し、最適化を図りました。スピードの出るスタイルですが、格好良さだけを求めているわけではなく、トンネルの圧力変動対応を高めた表れです。

福澤朗さん

写真

 福澤 今回最高速度が(ほかの車両と比べ、低めの)二百六十キロなのは。

 小河原 整備新幹線の法令上二百六十キロなんです。

 福澤 よく話題になりますが、完成した車両を運ぶのは大変ですね。

 小河原 車両は神戸で製造していますが、船で最寄りの港まで運び、そこから先はトレーラーで輸送します。歩道橋の高さのチェック、道路幅が変わっていないかなど大変と聞いています。

 福澤 輸送時、なぜか鉄道ファンがカメラを構えているんですよね。小河原さんのところで発表してるんですか。

 小河原 本当に運ぶときは大勢の方が待っていられます(笑い)。近くから工場の様子を観察して、「そろそろかな」と予想されているんでは。

 福澤 これだけさまざまな苦労をされたわけですから、製造メーカーには安く乗れたり特典はないんですか。

 小河原 ありません。車両引き渡し後は自分でチケットを買って乗ります。

輪島塗の赤を使い、四季を表現したグランクラスのデッキ

写真

 福澤 今後、新幹線車両はどんな方向に向かうでしょうか。

 小河原 今は旅を楽しむ車両が好評です。だからこれからはそんな乗車して旅を楽しめるような車両が注目されるのではないでしょうか。車窓から景色を満喫するのが最高の楽しみという人が多いですから。

 福澤 素晴らしいお話をうかがい、きょう話題になったことを覚えて北陸新幹線に乗るだけでなく、写真を撮ったりしても楽しんでほしい。あと先頭車両も斜めからしっかりチェックしてほしいですね。

 <おがわら・まこと> 1955(昭和30)年、神戸市出身。京大工学部卒業後、川崎重工業入社。一貫して鉄道車両の設計部門を中心に歩み、200系やEシリーズ新幹線などの車体設計を担った。神戸市の六甲ライナーなど新交通車両も担当。海外プロジェクトマネージメント部門などを歴任、2012年から執行役員・車両カンパニーバイスプレジデント。

 <ふくざわ・あきら> 1963(昭和38)年、東京都出身。早大第一文学部卒業後、日本テレビアナウンサーに。「ジャストミート」「ファイヤー」などの流行語を生んだ。同局チーフ・アナウンサーを経て2005年フリーに。趣味は鉄道のほか日本酒、和菓子店巡り。卓球が特技。

 フォーラム後半は、北陸3県の観光担当者がそれぞれの県の観光、グルメ、伝統文化などの魅力をゲストの福澤さんを交え、アピールするトークショー「行きたくなる! 食べたくなる! 北陸の魅力」が行われた。

       ◇

青木光仁さん

写真

 青木光仁・富山県観光連盟事務局長 きょうは富山の魅力を思いっきり発信します。先日の北陸新幹線試乗会でも評判の高かった立山連峰の景観と名物のおすしを紹介します。「映画一本の時間で映画のような世界」に出合えるというキャッチフレーズにあるように糸魚川駅を過ぎると、立山、剱岳(つるぎだけ)を望む光景が楽しめます。高岡市の雨晴(あまはらし)海岸からは海に浮かんだような立山連峰の風景が楽しめます。二時間余り新幹線に乗れば、そんな光景が楽しめるようになります。

 雲上の宿で知られる、立山黒部アルペンルートの「弥陀ケ原(みだがはら)ホテル」も午前八時半に東京を出発すれば、午後二時すぎには到着できます。雲海に沈む夕日の眺めは最高です。新幹線開業で往復二時間の余裕が生まれます。新湊(しんみなと)漁港(射水(いみず)市)の市場は昼セリがあります。また富山湾の新鮮な魚介類を使った「富山湾鮨(ずし)」は地元六十四店舗が二千〜三千五百円で地魚、地元の米、汁物をつけて提供しています。ぜひ、余裕のできた時間で堪能してほしい。

 福澤 富山のシロエビはこの世のものと思えないおいしさです。

 青木 シロエビは四月から十一月が旬。まさにこれからです。

 石川一哉・石川県観光戦略推進部首都圏誘客推進室長 石川県の石川です。石川の魅力をいっぱいお伝えします。金沢は戦災に遭っておらず、歴史と伝統文化の街です。兼六園は最もにぎわうスポットで、近江町市場、ひがし茶屋街も人気です。金沢21世紀美術館は家族連れだけでなく、建築好きな人も集まります。金沢は和菓子どころでも知られます。

石川一哉さん

写真

 石川の「食」は「AKB」と覚えておいてください。Aはアマエビ、Kはカニ、Bはブリです。ブリの刺し身はしょうゆと大根おろしを使うとさっぱり召し上がれます。石川県は「百万石の鮨」で売り出しています。地元のネタ、おいしい米と水の三拍子そろった鮨です。現在二十七の加盟店舗で三千八百円均一で提供しています。もちろん目と舌で楽しむ郷土料理の加賀料理も食文化の代表です。

 山代温泉、山中温泉、片山津温泉など加賀温泉郷、和倉温泉も新幹線開業でぐっと近づきます。ぜひおいしい料理と温泉を楽しんでください。

 福澤 近くなる首都圏のお客さまと関西圏からのお客さまで違いはありますか。

 石川 加賀温泉郷は「関西の奥座敷」と呼ばれていますが、首都圏の人には割と海に近い和倉温泉などに人気があるようです。

 福澤 ちなみに金沢は阪神ファンが多い?

 石川 巨人ファンが多いのでは。私は中日ファンですが(笑い)。

猪嶋宏記さん

写真

 猪嶋宏記・福井県観光営業部新高速交通活用推進室長 (富)山越え、(石)川越え、福の国へ。北陸新幹線で福井へお越しください。

 関東から福井に来る観光客は年間三十万人。関東の人口の0・7%です。今日は、そんな「未知なる福井」を知ってもらいたいと思います。幸福度、子どもの学力、社長輩出率などが全国トップの福井県。「北陸新幹線で行きたい名所」上位の東尋坊(とうじんぼう)、永平寺も福井にあります。中世の遺構、白山平泉寺、一乗谷(いちじょうだに)朝倉氏遺跡も注目です。

 福井といえば、恐竜化石の発掘では全国最大の地です。昨年開館した野外恐竜博物館では臨場感ある発掘体験を味わえます。北陸新幹線開業日の十四日には新宿高島屋に福井の恐竜が出現します(四月七日まで)。六百本の桜並木で知られる福井市の足羽川(あすわがわ)は夜も素晴らしい光景が楽しめます。

 「福井」に「、」を打ったら「福丼」。これにちなみ、福井を丼の聖地として十四、十五の両日には、全国から自慢の丼を集めた「第一回ワール丼カップ」が福井駅前で開催されます。

 北陸新幹線が福井まで来るのはまだ先ですが、東京駅の駅長室には永平寺貫首(かんしゅ)による「無事」の書が飾られています。開業前から福井と東京はつながっているんです。

 福澤 見どころが多く、迷いますね。そんな時は全部行ってしまえばいいんですよ。ところで、福井は油揚げ消費量が五十二年連続全国一位ですが。

 猪嶋 (肉、魚を使わない)精進料理の影響ではないでしょうか。わが家にも常に油揚げがあります。

(左から)福井・県立恐竜博物館、石川・百万石の鮨(すし)、富山・富山市街と立山連峰

写真

 <北陸新幹線の歩み> 1964(昭和39)年の東海道新幹線開業後の67年「北回り新幹線建設促進同盟会」が結成され、70年の全国新幹線鉄道整備法公布に伴い、北信越を経由、東京・大阪を結ぶ北陸新幹線計画が誕生。97(平成9)年に路線の一部としてまず高崎−長野間が開業。今月14日、長野−金沢間が開業する。計画では2022(平成34)年度に福井県の敦賀まで延伸するが、敦賀−大阪間の開業は未定。新車両のE7/W7系は12両編成。運行されるのは最も早いタイプ「かがやき」、停車駅が多い「はくたか」、金沢−富山間を往復するシャトルタイプ「つるぎ」のほか、東京−長野間は「あさま」がある。現行の鉄道との比較では東京−富山間が3時間11分から新幹線開業で最速2時間8分に。東京−金沢間は現行3時間47分から最速2時間28分に大幅に短縮される。

 <あおき・みつひと> 1961(昭和36)年、富山県出身。名城大法学部卒。立山黒部貫光に入社後、立山黒部アルペンルートの旅行商品開発、誘客宣伝などを担当。2012年、富山県観光連盟へ出向、事務局長として観光情報の発信、観光誘客に取り組む。

 <いしかわ・かずや> 1970(昭和45)年、金沢市出身。一橋大商学部卒。石川県庁入庁。2010年から観光行政に携わり、13年、新設された東京の首都圏誘客推進室長に着任、観光誘客に取り組む。

 <いのしま・ひろき> 1964(昭和39)年、福井県出身。金沢大法学部卒業後、福井県庁入庁。北陸新幹線開業、舞鶴若狭自動車道全線開通の効果向上のため設置された新高速交通活用推進室で県内観光地の魅力づくり、首都圏を中心にした観光プロモーションに従事している。

 

この記事を印刷する

PR情報