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【東京新聞フォーラム】

「サミットで注目!みんなで三重に、おいない(いらっしゃい)!」

講演をする外務省の溝渕将史氏=東京都中央区で

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 二十六日から開催される伊勢志摩サミットをテーマに東京新聞フォーラム「サミットで注目! みんなで三重に、おいない(いらっしゃい)! 」(伊勢志摩サミット三重県民会議応援事業/後援=三重県、三重県観光連盟、NPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンター)が九日、東京都中央区の日本橋公会堂で開催された。第一部の外務省伊勢志摩サミット準備事務局の溝渕将史総括次長の講演「知りたい! 伊勢志摩サミット」に続き、第二部では、地元三重県の魅力と、“バリアフリー観光”への取り組みを中心に「みんなで三重に、おいない! 〜日本一のバリアフリー観光県をめざして〜」と題し、伊勢志摩バリアフリーツアーセンターの中村元理事長、三重県出身のタレントの加藤紀子さん、同県雇用経済部の水島徹観光局長の三人がトークセッションを披露した。三百五十人の聴講者はサミットを前にさまざまな話題に聞き入っていた。

【主催者あいさつ】東京新聞事業局長・松川貴

 注目のトピックスを取り上げる東京新聞フォーラムに、今回は伊勢志摩サミットを選びました。日本で六回目の開催となりますが、私自身も初任地が三重県で、その後外報部時代にもサミット報道に携わってきたのでとても関心があります。サミットのいろいろな話題、伊勢志摩をはじめとする三重県の魅力をゲストの皆さんに紹介してもらいます。お楽しみください。

◆第一部「知りたい! 伊勢志摩サミット」 外務省 伊勢志摩サミット準備事務局総括次長・溝渕将史さん

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 昨年六月五日、ウクライナに向けて出発する直前の羽田空港で安倍首相は、「伊勢志摩で開催する」と発表され、既に専用機の中で首相の搭乗を待っていた私はびっくりしました。以降、伊勢神宮を含め伊勢志摩に十一回出向きました。最重要国際会議と位置づけるG7サミットを日本が議長として主催します。成功に向けては、東京の方々にもぜひ応援していただきたいと考えておりますので、本フォーラムを通じてサミットを身近に感じていただけましたら幸いです。

 一九七三年十月に第四次中東戦争が勃発。石油価格が上昇し、世界経済が混乱。日本では、トイレットペーパー不足騒ぎが起きたり、「狂乱物価」というほど物価が上昇、高度経済成長が終わったともいわれました。このような事態を解決すべく、当時のジスカールデスタン仏大統領の提唱で七五年に第一回サミットがパリ郊外のランブイエ城で開催されました。

 G7サミットは首脳七人にEUの代表二人を加えた九人が円卓を囲み、自由闊達(かったつ)に話し合うのが特徴です。参加国が多い他の国際会議では、参加国が順番に発言するだけで時間がなくなってしまうこともあります。サミットでは時に議論が白熱し、けんか腰の議論もありますが、最後にはきちんとまとまるのです。これもG7各国が基本的価値を共有しあっているからこそなんですね。

 また、今の国際社会は、物事が起こると、その影響するところも国境を瞬時に越えて大きくなります。それらに有効に対処するためには、影響力の大きいG7首脳の指導力による迅速で効果的な対応が不可欠です。

 伊勢志摩サミットまであと十七日(九日現在)。少々焦ってます(笑い)。安倍首相が伊勢志摩を選んだ理由として「伊勢神宮をはじめ、日本の伝統や文化、美しい自然を存分に味わっていただきたい」と挙げています。これを踏まえ、G7首脳たちが伊勢神宮を訪問し、「荘厳で凜(りん)とした空気」を共有できるよう、事務方は検討しています。

 G7首脳のほとんどは、政府専用機でセントレア(中部国際空港)から入国します。一部は東京から入国する国もありますが。セントレアからは陸上自衛隊のヘリで賢島近郊に向かいます。現在、賢島近郊にヘリが離着陸できるヘリポートを造っています。賢島にはサミット会場、宿泊先、記者会見場があります。

伊勢志摩サミットが開催される三重県志摩市の賢島(中央)

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 G7サミットを安全に開催することは至上命題です。政府は国際テロ情報の収集・分析体制を強化し、入国・税関審査も強化しています。緊急事態・サイバー攻撃への対策も当然取り組んでいます。警戒警備は待ったなしですね。三重県警だけでなく全国から応援の警察官が既に配置されています。海上保安庁も警備を強化。サミット会場のホテルを高さ数メートルのフェンスで囲み、ドローン飛行禁止区域も指定します。日本は各首脳に防弾車を提供します。米国だけ例外で、防弾車やヘリを本国から自前で運び込んでくるんですね。

 サミットでは、各首脳は自国の言葉で話をし、同時通訳されて各首脳の耳に届きます。そのため、五カ国語(日本語、英語、仏語、独語、伊語)の同時通訳者とブースを用意します。

 首脳たちは食事をしながら議論をする機会があります。三重県産の食材を中心とした素晴らしい和食を提供しますが、乾杯の酒は、ぜひとも地元・三重県の日本酒を使ってもらいたいと強く思っています。

 国内外から数千人のプレスが訪れます。伊勢市に設置する国際メディアセンターでは、広報スペースに日本の先端技術や伝統工芸などを展示して、三重だけでなく日本の魅力を積極的に発信していきます。

 サミット会場の志摩観光ホテルはかつて昭和天皇が五度もお泊まりになり、景観の美しさをお詠みになった歌碑も残っています。そんな美しい伊勢志摩で開かれるサミットで実りの多い議論ができるよう、三重県や愛知県とも連携しつつ、万全の体制を整えていきたいと思います。

 <みぞぶち・まさし> 1965(昭和40)年広島県生まれ。慶応義塾大学法学部卒。外務省入省後、日米安全保障条約、国連、APECなどの外交政策に携わる。小渕、森、小泉の歴代首相に首相秘書官付として仕える。2015年6月より外務省伊勢志摩サミット準備事務局総括次長を務め、16年1月から内閣参事官を併任している。

◇日本開催は6回目

2014年6月、ベルギー・ブリュッセルで行われたG7サミットで、各国首脳と会議に臨む安倍首相(中央)=共同

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 伊勢志摩サミットは26、27の両日、賢島のホテルを会場に開催される。1975(昭和50)年11月にフランスで世界経済をテーマに第1回サミット(参加国は日、米、英、仏、西独=当時、伊の6カ国)が開催されてから今回で第42回を数える。

 日本が議長国として国内で開催するのは、79年、86年、93年の東京、2000年沖縄、08年北海道洞爺湖に続き、伊勢志摩サミットで6回目となる。

 外務省のHPなどによると、伊勢志摩は「日本の原風景とも言える美しい自然があり、日本のふるさとの情景を世界のリーダーたちに肌で感じてもらいたい」との趣旨で開催地に選ばれた。

 各国首脳は安倍首相のほか、オバマ米大統領、キャメロン英首相、オランド仏大統領、メルケル独首相、レンツィ伊首相、トルドー加首相に加え、欧州連合(EU)からトゥスク欧州理事会議長らが参加する。今回でサミットの参加回数はメルケル首相の11回目が最多で、トルドー首相が初参加だ。安倍首相は5回目のサミットを迎える。

 溝渕総括次長によれば、世界経済の減速や緊張する国際関係など課題山積の中、「世界経済・貿易」「政治外交問題」「気候変動・エネルギー」「開発」などの伝統的に議論されている議題に加え、日本が提案する重要議題として「質の高いインフラ投資」「保健」「女性」「腐敗対策」「サイバー」についても議論される予定。各国首脳たちの議論から、温室効果ガス対策など迅速な問題への対応につながった例も少なくない。

 舞台は伊勢志摩だけでなく、サミットと前後してG7外務、交通、科学技術などの閣僚会合が日本各地10都市で開催される。 

◆第二部「みんなで三重に、おいない(いらっしゃい)!〜日本一のバリアフリー観光県をめざして〜」

中村元さん

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 後藤三重総局次長 三重県のニュースを担当するデスクをしています。地元ではサミットはもちろん、サミット後には県が推進しているバリアフリー観光はじめ、どれだけ三重の観光につながるか、注目されています。

 加藤紀子さん 今日は私のふるさとである、三重県を思いながら紹介していきたいと思います。

 水島徹三重県観光局長 いよいよ地元には緊迫感が出てきました。今日は三重に来られる人が多くなるよう努めたいと思います。

 中村元バリアフリーツアーセンター理事長 鳥羽水族館にいた当時、バリアフリー観光を思い立ちました。今は三重県へどれだけ客を連れて行くか、頑張っています。皆さん、三重に行ってお金を落としてください(笑い)。

 後藤 まずはサミットへの期待を。

 水島 主会場の賢島は干潮時に歩いて渡れるので「徒越(かちご)え島」と呼ばれていました。真珠で知られるミキモトの創業者が近くで真珠の養殖を始めた場所です。志摩観光ホテルは山崎豊子さんの「華麗なる一族」の舞台にもなりました。キムタクのじゃなくて。ホテルは六月七日から一般営業を再開しますのでぜひお越しを。

 中村 伊勢志摩サミット開催は驚きましたが、二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックでは、障がいのある人が多く訪日されます。真珠のミキモト、鈴鹿のサーキット、松阪牛、伊賀忍者などサミットを通じて日本の魅力を自分たちはバリアフリーツアーセンターを拠点に発信していきます。

 後藤 三重県出身者として考えは?

水島徹さん

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 加藤 サミット開催決定!と発表されても、私をはじめ県民の方も「あっ、そうなんだ…」というのが正直な感想なのではと思います。サミットだからとあれもこれもと意気込むのではなく、県民性のように控えめだけど実はたくさん良いところがありますよと、取り繕っていない朗らかな日常の三重も見ていただける機会があればいいなと思います。

 後藤 開催県の三重をどう発信するか?

 水島 「実はそれ、ぜんぶ三重なんです!」というキャンペーンを展開していました。伊勢神宮の正式名称は「神宮」で、内宮(ないくう)、外宮(げくう)をはじめとする百二十五社の総称です。内宮に続く参道にある「おかげ横丁」「おはらい町」は人気です。世界遺産登録された熊野古道にも足を運べます。流行のコンビナートの夜景なら四日市。海女(あま)が日本の海女の半数の約八百人いるのも三重です。海女小屋体験は外国人観光客にも評判です。

 忍者といえば伊賀。戦国時代から続く伝統で服部半蔵が有名です。また、松尾芭蕉の出身地である伊賀では、芭蕉と呼び捨てにすると「芭蕉翁と言いなさい」としかられます。温泉も素晴らしいです。

 後藤 本日の会場の近くに三重県のPR拠点「三重テラス」ができました。物産、レストラン、イベントスペースがありますね。

 水島 全国の気になるアンテナショップなどで三位になっています。そこから輪が広がることを期待したいと思います。

 中村 バリアフリー観光の面では、われわれが運営しているバリアフリーツアーセンターに任せてください。旅館、特に和風旅館はバリアーは結構ありますね。伊勢神宮の階段とかバリアーそのものですね。でも、観光目的はバリアフリーに行きたいわけではありません。石段をバリアフリーにしたら神さまが怒りますよ(笑い)。また、バリアフリー観光はビジネスチャンスです。家族旅行を考えてください。多くの場合、誰か高齢者、後期高齢者が入ります。だからバリアフリー観光の需要があるのです。体が弱い、車いすだから、と気を使い過ぎて旅行に行くのをあきらめてしまう層があります。そうした人たちに楽しんでもらえるようにしたい。車いすやストレッチャーで来た人もボランティアが支える体制ができれば理想的です。幸い三重県は「日本一のバリアフリー観光推進県」を知事が宣言してくれました。二〇二〇年に向けてこれからは「おもてなし」です。

 後藤 サミット開催で三重はどう変わる?

加藤紀子さん

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 加藤 ふるさとは、いつ帰っても同じ風景であってほしいと思います。でも、本日のいろいろなお話を伺い、サミット開催によって進化していく三重県も楽しみになりました。

 後藤 最後になりますが、みなさんからメッセージを。

 水島 東京でさまざまな情報発信できるのもサミットのおかげです。三重にお越しいただければと思います。日本橋の三重テラスもよろしくお願いします。

 中村 バリアフリー観光を推進しますので、皆さん安心してお年を取ってください。そして三重へお越しを。

 加藤 大きなバッグを持って、ぜひ三重に来てください。帰る時には、きっとたくさんのお土産と思い出を詰めて帰っていただけると思います。

 =第二部コーディネーター 中日新聞社三重総局次長・後藤厚三

 <なかむら・はじめ> 1956(昭和31)年三重県生まれ。日本唯一の水族館プロデューサーとして各地の水族館の集客に貢献。ボランティアでバリアフリー観光による集客のためのシステム開発に従事し、伊勢志摩バリアフリーツアーセンターと日本バリアフリー観光推進機構の理事長を務めている。

 <みずしま・とおる> 1959(昭和34)年愛知県生まれ。早稲田大学商学部卒業。85年三重県入庁。総務部人権・労使協働特命監、四日市港管理組合経営企画課長、地域連携部南部地域活性化局次長(兼南部地域活性化推進課長)、農林水産部副部長を経て、2016年4月より雇用経済部観光局長。

 <かとう・のりこ> 1973(昭和48)年三重県生まれ。タレントとして活躍する一方で、仕事・プライベートを含めて30カ国以上への海外渡航を経験。フランスには2年間の語学留学経験がある。「みえの国観光大使」「鈴鹿市シティセールス大使」なども務め、活動を通じ、三重県の盛り上げに寄与している。

■案内■

 豊かな自然、観光施設、グルメも楽しめる伊勢志摩エリアへのアクセスは首都圏からなら、東海道新幹線で名古屋経由が便利だ。

 近鉄名古屋駅から近鉄特急利用で鳥羽まで約1時間40分、賢島までは約2時間10分で到着。東京駅を出発して、4時間前後でもう伊勢志摩を楽しめる。

 自動車の場合、東名高速で約4時間の名古屋を経由するルートなら、東名阪自動車道で関ジャンクションから伊勢自動車道を利用、伊勢二見鳥羽ラインと乗り継げば、鳥羽エリアまでは名古屋から約2時間。さらに30分も走れば、志摩エリアに到着できる。

 東名高速の浜松経由で国道1号などで伊良湖に出て、伊勢湾フェリーで鳥羽へ向かうルートもある。

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