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【群馬】

シイタケ原木など300万本使えず 放射性物質が基準超え

手作業でシイタケ菌を植えたが、無駄となったほだ木=渋川市で

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 東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響により、二〇一四年度に県内の二十五市町村で計約三百万本、約二万トンのシイタケ原木と植菌した「ほだ木」が使えず、その後も処分が進んでいない実態が分かった。農家が高齢化し、原木などの処分作業や東電への賠償請求手続きに手間が掛かる事情が背景にあるとみられる。原発事故から約五年。特産品で流通する生シイタケの安全性は確認されているが、爪痕の修復は長引いている。 (菅原洋)

 シイタケは長さ約九十センチのコナラやクヌギなどの原木に菌を植えて栽培する。原発事故後、原木とほだ木には一キロ当たり五〇ベクレル、シイタケには同一〇〇ベクレルと放射性セシウム濃度の安全基準が厳格化された。

 県が環境省の依頼で基準を超えて使えない原木とほだ木を調査した結果、放射性物質が飛来した県内の産出が多く、計約三百万本に上った。

 原木などはサイズが大きいため、事業系の一般廃棄物としての焼却が難しく、処分は専門の業者に委託する。ただ、費用に県の補助金はなく、東電に賠償請求する場合が多いとみられる。

 原発事故前には、廃棄するほだ木は暖房の燃料用などに再利用してきたが、安全基準を超えた場合は慎重な取り扱いが必要となる。

 県きのこ普及室は「三百万本のうち現在どの程度処分できたかは分からない。処分するべき物であり、農家の声を聞いて進めたい」と説明している。

 渋川市北橘町の森田椎茸(しいたけ)園では、二〇一三年に使えなくなったほだ木約八千本がいまだ保管され、農地の有効活用を妨げている。

 同園は事故の起きた一一年に約一万三千本のほだ木が使えず、処分した費用を東電に賠償請求。全額の支払いで合意したが、手続きに時間がかかり、いまだに補償金は手にできていない。

 一二年も約一万六千本のほだ木が使えなかったが、おがくず業者が安値だが買い取ってくれた。一三年の分も依頼するつもりだ。

 ただ、園の経営者で元県きのこ振興協議会長の森田富雄さん(64)は「農家が高齢となり、使えないほだ木が山の中にあると、搬出が難しい上、東電への賠償請求手続きの手間も避ける場合がある」とみている。

 同園は県きのこ品評会で何度も最高賞を受賞し、直売もしている。しかし、事故前は年間約十三トンあった原木シイタケは事故後に同五トン以下に減り、昨年は同十トン以下にとどまる。

 森田さんは「東電から生産の減少に対する補償も出ているが、いつまで続くのか」と不安を口にする。

 県によると、県内の生の原木シイタケは事故のあった一一年までは年間千トン以上の生産量があり、一二年まで全国首位も続けたが、一四年は五百二十九トンと減らし五位に落ちた。生の原木シイタケ栽培の従事者も一一年の三百四十四人から一四年は二百五十五人に減った。

 県内では、生の原木シイタケは放射性物質による出荷自粛要請はなく、安全性が確認されている。

 

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