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【群馬】

カワウVSドローン 桐生・渡良瀬川 両毛漁協が放流稚魚の保護に活用

カワウを追い払うドローンを操縦する坪井研究員(左から3人目)=桐生市で

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 カワウによる川魚の食害対策にドローンを使う動きが始まっている。ただ追い払うだけではなく、巣にドライアイスを投下するなどして、ゆくゆくは繁殖そのものを抑制するのが狙いだ。

 ダダーン! 川面を飛行するドローンがぶら下げたスピーカーから銃声が響く。桐生市の渡良瀬川。ヤマメやアユの人気釣り場で、地元の両毛漁協はカワウ被害に頭を悩ませている。

 川岸の木々にカワウが一カ所で五百〜六百羽の巨大コロニーをつくり、放流された稚魚を捕食する。「カワウは大食漢で一羽が一日に五百グラムの魚を食べる」と話すのは、中島淳志組合長(45)。跳ねる魚を待ち伏せするしかないアオサギなどと違って、カワウは潜水能力が高く、一〇メートル以上潜ることができるという。五百グラムはヤマメの稚魚二百匹分にも及ぶ。

 銃声を聞いたカワウは水面を蹴って逃げていったが、これはあくまで「餌場」から追い出して恐怖心を持たせるのが目的。ドローンでむやみにコロニーから追い払えば、大集団が別の地域に移動して他県にまで被害が拡大する恐れもある。

 同漁協では巣の拡大を防ぐため、巣を作りそうな所に釣りざおを使ってテープを巡らせる試みをしていた。ドローンを活用したところ、高い場所まで張ることができた。テープが風になびく音をカワウが嫌う効果も期待できる。

 カワウの数は全国的に増加傾向にある。その原因は何なのか。中央水産研究所内水面研究センターの坪井潤一研究員(38)は「地球温暖化です。魚食性の鳥は全世界的に増えているといわれています」と説明する。

 「シカの増殖と同じで、冬を越すのが容易になり、幼鳥が死ななくなった」。一方で、護岸工事で魚が身を隠す場所が減ったことや、放流数が増えたことにより、鳥が魚を捕食しやすくなり、個体数増加に拍車をかけた面もあるという。

 地道だが空気銃による有害駆除が最も効果的だ。百五十メートルほど離れた対岸からコロニーを見ると、一本の木に何十というカワウが止まっている。テープで拡大を防いで一カ所に集中させたところを、空気銃で狙う。昨年実施したハンターによる射撃では、三百五十羽以上を駆除できた。

 坪井研究員が提唱するもう一つの策が「ドライアイス投下」だ。タブレット端末の画面を見ながらドローンを操縦し、木の上にある巣の中にドライアイスを落とす。「卵の一部に触れただけでもふ化しなくなります」。想像するとクレーンゲームのような光景だが、繁殖抑制に効果が期待されている。

<カワウ> カツオドリ目ウ科の鳥。世界中に生息するが、日本では1970年代に減少した。その後河川の水質改善で餌となる魚が増えたことや、温暖化で冬を越しやすくなったことから、90年代以降、数が飛躍的に増えた。全長80〜100センチ。くちばしの先端はかぎ状で、根元に黄色い部分があり、足には水かきが付いている。全国内水面漁協連合会によると、2008年の全国での川や湖などでの水産被害額は103億円に及ぶ。

 

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