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【群馬】

次代担う若者に伝えたい 戦時下の青少年の「体験記」第4集刊行

「戦時下に生きた青少年の体験記」第4集をまとめた鈴木さん=高崎市で

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 元群馬町(現高崎市)教育長の鈴木越夫さん(73)=高崎市金古町=が「戦後七十二年の証言『生の声』」を自主出版した。「戦時下の人々がどのように生き、どのような生活を強いられたのか、次の世代を担う若者たちに伝えたい」。そんな思いで七年前から集録を始めた「戦時下に生きた青少年の体験記」の第四集には、七十八人の貴重な体験がつづられている。 (大沢令)

 旧満州(中国東北部)やシベリア、ニューギニアなどの戦地での体験のほか、高崎にあった歩兵第一五連隊など軍事施設周辺での出来事、空襲体験なども掲載されている。手記や日誌、写真などもある。

 体験記を寄せた人の多くは「自分の一生を振り返ることができた」と受け止めながらも、軍隊の生活や戦場、抑留などについては「過酷すぎて子や孫に話せない」と答える人もいたという。

 終戦の日の前日、高崎市内で空襲を体験した女性は「みんなで手さぐりで防空壕(ごう)へ、足は水でつかっている。粗末な手製の腰掛(こしかけ)に泣く児をなだめながら、空襲をうけぬようにじっと祈った。そのうちに、B29の急降下のものすごい音、みんな思わず耳を塞(ふさ)ぎ、目をつむった。主人が大変だと大声で叫んで、壕の蓋(ふた)を取ると火の海…」と当時の情景を生々しく描写した。

 その上で「戦争のない今のような平和の続くことを願ってやみません」などと胸中をつづった。

 埼玉県秩父市の男性は、テニアン島での戦争体験を寄せた。第一次大戦後に日本の委任統治領となり、先の大戦では日米の激戦地だった。広島と長崎に原爆を落とすB29が飛び立った島としても知られる。砲弾を浴びて子どもながらに死を覚悟したことや、投降を促され「手りゅう弾で自決するか」と父と話し合ったことなども明かした。

 モンゴルと旧満州の国境地区で日本軍と旧ソ連軍が衝突した一九三九年のノモンハン事件にまつわる思い出を振り返った高崎市内の男性の体験記は、かつての手記を引用してこう結んだ。

 「軍隊や戦争について人に語ることも書くこともなかった。しかし近頃戦記物や軍隊に関する劇や映画がテレビで放映されることが多くなると、いろいろ細かい誤りが目について気になる。(中略)こんなわけで私のとるに足らない軍隊経験でも書き記しておこうと思って筆を執った」

 鈴木さんは「戦時下を経験した人たちが亡くなりつつある今、生の声を証言として残していくことが大事だと思う」と話した。

 本は県内の主な書店で扱っている。問い合わせは、鈴木さん=電027(373)2777=へ。

 

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