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【群馬】

血清製造ピンチ 毒ヘビ・ヤマカガシ 個体減少「採算取れない」

日本蛇族学術研究所の堺淳さん=8月、太田市で

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 かつて水辺や田んぼに広く生息していた毒ヘビ「ヤマカガシ」。今年7月には福岡県と兵庫県で小学生の男児がかまれ、血清治療で回復したが、その血清がなくなるかもしれない。自然環境の変化による個体数の減少で製造に必要な毒を集めるのが難しい上、重症化することはまれで、採算性の低さも要因だという。

 「ほかのヘビよりも血清の効果は高いのに受傷例が少なく、血清を製造しても採算が取れない」。日本蛇族学術研究所(通称ヘビ研、太田市)の主任研究員堺淳さん(62)は頭を抱える。

 ヤマカガシは本州や四国、九州に広く生息。毒で重症化すると頭痛や脳内出血を起こし、最悪の場合、死に至ることもある。ただ、毒を出す歯は奥にあることなどから、かまれても体内に入りにくく、かつて一般に毒ヘビとは認識されていなかったほどだ。

 堺さんによると、ヤマカガシの血清はヘビ研が約30年前に初めて作った。1984年に愛知県で中学生が死亡し、遺族が研究費を寄付してくれたことが契機だった。2000年には国立感染症研究所などと共同で再び開発し、化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)で再製造された。

 現在使用されている血清は17年前のもの。毎年検査で効果は確認しているが、経年劣化を考えると再製造は不可欠だ。

 血清を作るには数百匹を捕獲して毒を採取しなければならない。しかし、環境変化で餌のカエルが減少し、ヤマカガシそのものが減っている。

 堺さんは中国産のヤマカガシで代用する研究もしているが、研究費不足などから思うように進んでいない。「薬を作るのは時間もお金もかかる。厳しい状況だが、万が一の備えを絶やしてはいけない」と話した。

 

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