東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 群馬 > 記事一覧 > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【群馬】

座間遺体 邑楽の石原さん 県立高校長「犯人に強い憤り」

報道陣の質問に答える石原さんが通っていた高校の校長=県内で

写真

 まさかあの子が被害にあったなんて−。神奈川県座間市のアパートで九人が遺体で見つかった事件で十日、このうちの一人が邑楽町の県立高校一年、石原紅葉(くれは)さん(15)と判明した。高校では生徒や教師たちが悲しみにくれたほか石原さんを知る人が悼んだ。県教育委員会は生徒たちの心をケアする一方、事件のきっかけとなった会員制交流サイト(SNS)などの問題点について注意を呼び掛ける方針だ。

 石原さんが通っていた県立高校の校長が、校内で報道陣の取材に応じた。「無事に帰宅してくれることを願ってきたが、こうした結果になり言葉もない。生徒の冥福を祈り関係者にお悔やみ申し上げる」と述べ「未来ある無辜(むこ)の命を奪った犯人に強い憤りを感じている」と語気を強めた。

 校長によると、石原さんは八月二十八日の始業式を欠席した後に連絡が取れなくなった。同日の午前八時半前、本人から体調不良を理由に欠席すると電話があった。二十九日に警察から「家に帰っていない生徒がいる」と連絡を受けて行方不明になっていることが分かったという。

 石原さんは絵を描くのが好きで落ち着きのある礼儀正しい生徒だったという。美術部に所属し、高校には石原さんが描いたデッサンなどが残されているという。一学期は無欠席で、夏休み中にも変わった様子はなく悩んでいる様子もなかった。

 他の生徒への聞き取り調査では、石原さんが自殺サイトなどを見ていたという話は出てきておらず、石原さんは家族に「高校がとても好き」と話していたという。校長は行方不明になった理由について「今のところわからない」と話した。

 同高では全校集会を開き、石原さんが亡くなったことを生徒に説明して一分間の黙とうをささげた。泣きだす生徒もいたという。

 校長は「家族の強い要望がある」として、学校名を公表しないよう報道陣に申し入れた。(原田晋也)

◆県教委 SNSなど注意喚起へ

 県教委の笠原寛教育長が、県庁で報道各社の取材に応じ、「県立高の生徒が許すことのできない極悪な犯罪の被害に遭い、未来に無限の可能性を持った生徒の尊い命が失われたことは痛恨の極み」と述べた。

 県教委は六日から、石原さんが通っていた高校の生徒たちの心をケアするため、同高のスクールカウンセラーを指導し、生徒の相談にも直接応じる臨床心理士などの「スーパーバイザー」を派遣。当面、交代で一人が担当する。

 さらに、今回の事件のきっかけとなったSNSなどに注意喚起を促す通知を、近く県内の県立高や市町村教委などへ発信する予定。

 各県立高では、生徒たちが自ら委員会を発足させ、SNSやスマートフォンなどを利用する際のルール作りなどに取り組み、専門家らを招いた特別授業も開いている。今回の事件を受け、こうした取り組みを強化する見込み。

 一方、県警のサイバー犯罪対策課によると、昨年一年間にSNSなどを利用して犯罪に巻き込まれた県内の十八歳未満は前年比プラス十七人と急増し、四十二人と過去最多となった。今回の事件で使われたツイッターの被害が多い。 (菅原洋)

◆邑楽町長「しっかりした方」 子ども議会で質疑

 石原さんは中学三年だった昨年七月、邑楽町が開いた「一日子ども議会」に参加。金子正一町長に人口減少問題への取り組みを質問していた。金子町長は取材に「町の将来についてきちっと質問し、しっかりした方だなあと感じていた。こんな事件の被害に遭われて本当に残念です」と悼んだ。

 容疑者との接点がSNSとされていることについて「これまでも教育委員会が子どものスマホ、SNSなどの利用について指導をしてきたが、地域の皆さんの力も借りるなどして強化していくことが大事だと考えています」と指摘した。 (竹島勇)

◆元高校長「大人の声掛け大切」

 事件の全容は不明だが、石原さんは高校一年生。元県立高校長の山口和士さん(61)は一般論として「中学から高校に上がる際に自分の携帯電話を手にするケースが多い。また高校に入って最初の夏休みは、それまでの自分を振り返り内面を見つめ、自分の存在価値について悩む子も多い」と指摘する。

 その上で山口さんは「SNSとの付き合い方を指導することは当然だが、何より家族や教師、地域の人が子どもたちに気軽に声をかけ温かく見守ることが大切。最近それが足りていないのではないかと危惧している」と強調した。 (竹島勇)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報