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【群馬】

石綿工事で「法令違反」 前橋市監査で指摘 飛散防止の記録なし

住宅街に隣接する石綿水道管の工事現場だった市道=前橋市で

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 前橋市後閑、西善町で昨年二月に完工した同市発注の発がん性があるアスベスト(石綿)製の水道管撤去工事で、市内の施工業者が労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則などに違反した恐れがある実態が、市の工事監査で分かった。業者は市に「(石綿が周辺に飛散する)危険な作業はしておらず、法令は守った」と主張。だが、市は「主張を証明する記録類がないため、法令違反と認めざるを得ない」と判断した。工事による周辺住民への健康被害はないとみている。 (菅原洋)

 市水道局によると、問題となったのは市道の地下で下水道工事をするため、障害物となる既に不使用だった水道管を二カ所で計約三百メートル撤去する工事。石綿とセメントが素材の水道管は、数十年前に埋設されて老朽化し、破損や切断した場合は適正に対処しなければ、繊維状の石綿が周辺に飛散する恐れがあった。

 ところが、市監査委員が昨年四〜七月に、この工事を調査した結果、業者が石綿の暴露や飛散の防止対策をした証拠がない事実が判明。石綿障害予防規則では、作業の場所や内容などを記録する必要があるが、残っていなかった。

 市が適用している県の規定「建設工事必携」では、施工状況の写真も必要だが、それもなかった。

 同予防規則は作業員に石綿の危険性などを教える特別の教育を求め、実施日時、内容、受講者名などを記録して保存する必要があるが、残していなかった。

 さらに、同予防規則が求める石綿の存在を周辺住民や作業員に周知する掲示も、工事監査ではなかったと判断された。県の規定が求める掲示を証明する写真もなかった。

 業者は市に記録や写真を提出できなかったが、「石綿の防止対策、特別の教育、掲示はいずれもやった」と主張しているという。

 市下水道整備課は「客観的な証拠がない以上、疑義が生じ、やっていなかったと指摘されてもやむを得ない。非常に問題がある工事で、大変遺憾だ。周辺住民に健康被害はないと考えるが、不安を与えて申し訳ない」と謝罪している。

 市監査委員は報告書で市側に対し「石綿障害予防規則にのっとり適切な施工管理を行うことについて請負者への指導徹底を図るように改善されたい」と求めた。

 工事現場は市立広瀬中学校に近く、住宅街が隣接する。市は再発防止策として、現在は工事発注時の業者への説明会などで法令順守の指導を徹底している。

<アスベスト> 天然の繊維状鉱物。極めて細くて飛散しやすく、丈夫で変化しにくいため、肺に吸入されると組織に刺さり、人体に悪影響を及ぼす。15〜20年から40〜50年の潜伏期間後、肺がんや悪性中皮腫などを引き起こす恐れがある。過去に建材やビル工事の保温断熱などに使われたが、現在は規制されている。県内でも労災認定された死者が約10人いる。石綿製の水道管工事では、青森県で労災認定された死亡例がある。

 

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