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【群馬】

<志尾睦子のそふとフォーカス> (6)「人のふんどし」も一手

中江有里さん

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 数年前から、週に一度のペースで、一時間のラジオ番組をやらせていただいている。自分で構成を考えて、選曲をし、一人でしゃべる。話題は映画が中心で、その時々に気になったことや、興味のあることもお話しさせてもらっている。せっかく良い機会をいただいているので、時には舞台あいさつにお越しになられた監督たちに、ゲスト出演してもらったりもする。その機会が増えていくといいな、と思ってはいるのだけれど、時間的な制約やその他さまざまな事情があってなかなか著名人を呼ぶのには躊躇(ちゅうちょ)してしまう。

 そんな躊躇を吹き飛ばす事件が起きた。自分でも驚きの方とラジオ共演を果たすことがかなったのだ。女優で作家の中江有里さんである。彼女は芸能界でも指折りの読書家で、本に関係したお仕事も数多い。読書の魅力を伝える活動にはとても積極的で、各地で講演などもされている。その中江さんがご自身の読書体験から自分を成長させてくれた二十四冊の本を紹介するエッセー「わたしの本棚」(PHP研究所)を発刊することになり、そのタイミングで、本の紹介に来てくださったのである。

「わたしの本棚」

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 このチャンスを持って来てくださったのは、数年前にお仕事をご一緒した出版社のKさんだった。気軽に自分のラジオ番組の話をしたら、時折聴いてくださるようになり、ある日唐突に、「中江さんの新刊本が出るので、ご本人を連れて行ってもいいでしょうか」と提案された。実は私、かねての中江さんファン。そこからこの提案が出てきた事は明らかだった。私は正直面食らってしまった。そんな手、全く考えてなかったからである。映画縛りでしか物事を考えていなかった。つくづく、自分の発想の狭さにがっかりした。かくして三カ月の準備と奔走の後、わたしはKさんの多大なるお力添えのもと、憧れの中江さんを自身の番組にお呼びすることができたのである。

 思えばKさんはいつもそうなのだ。できない理由を探す前にできる方法を考える。やりたい事はやってしまう人だ。前向きな人のそばにいると、物事は好転するのだと気がついた。人のふんどしもなんとやら。それも一手というものだ。(シネマテークたかさき総支配人)

 第1、第3、第5日曜日に掲載します。

 

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