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【群馬】

朔太郎の直筆書簡2通発見、初公開へ 前橋文学館が16日から

朔太郎の直筆書簡のうち新たに発見された2通。左下の封筒に「前橋市萩原朔太郎」の署名がある=前橋市で

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 前橋市は十一日、地元出身の詩人、萩原朔太郎(一八八六〜一九四二年)が年上の詩人に宛てた直筆の書簡二通が、市立前橋文学館の調査で発見されたと発表した。朔太郎の直筆書簡は年下の俳人に宛てた別の封書一通の発見が九月に明らかになっており、新発見の二通も朔太郎全集に未収録の学術的に確認されていない書簡。文学館はこの三通を十六日から順次初公開する。 (菅原洋)

 新発見の二通は一月、文学館が東京の古書店から購入。文学館が所蔵する朔太郎の別の書簡と誤字や癖字などの筆跡が一致し、書簡に利用された原稿用紙も別の書簡と共通しているため、真筆と判断した。

 年上の詩人は、岡山県出身の正富汪洋(まさとみおうよう)(一八八一〜一九六七年)で、二通とも返信文。汪洋は一九一八(大正七)年三月、同人誌「新進詩人」を創刊し、朔太郎に原稿を依頼しており、五月に散文「詩の概念」が寄稿された。

 一通は同年に出されたが出した月日は不明。「私自身、一個人としては、特にあなたに敬愛の意(脱字か)します」「実力ある新進の紹介につとめるのは最も有意義なことだと思ひます」とつづっている。

 もう一通は同年の二月十五日付。「詩檀(壇)がもつと自由詩であつてもいいですね。今までの日本の詩檀(壇)といふものは、党派的な排他感情が強すぎる」と指摘している。

 文学館の小林教人学芸員は「月日不明の書簡は、先輩の詩人が同人誌を創刊するという取り組みに敬愛の念を表している。二月の書簡は既に詩壇での地位を確立しつつあった朔太郎が、詩壇への熱い思いを込めて厳しく指摘したのではないか」と分析している。

 文学館の館長で、朔太郎の孫の朔美館長は二月の書簡について「激しい調子で既存の詩壇への怒りが出ている。新しいことをやり続けている人(朔太郎)への反動があったのかもしれない」とみている。

 汪洋宛ての二通は十六日から来年一月三十日に、年下の俳人で北海道出身の金児農夫雄(かねこのぶお)(一八九四〜一九三八年)宛ての一通などは来年二月一日〜三月二十一日に、それぞれ文学館で展示する。観覧には常設展の料金百円(一般・大学生)が必要となる。

 

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