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【群馬】

営業再開もゲレンデ閑散 草津国際スキー場 入山規制区域外の2カ所

入山規制区域外にある天狗山ゲレンデ。スキーヤーらの姿はまばら=草津町の草津国際スキー場で

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 十二人が死傷した草津白根(しらね)山の本白根(もとしらね)山(草津町、二、一七一メートル)の噴火から一夜明けた二十四日、山頂付近から麓に広がる草津国際スキー場は、四カ所のゲレンデのうち、入山規制区域(半径二キロ)の外側にある天狗(てんぐ)山、御成(おなり)山の二つのゲレンデの営業を再開した。ただ訪れたスキーヤーらはまばらで、ゲレンデは閑散としていた。(唐沢裕亮、谷岡聖史)

 「天狗山ゲレンデは白根から距離があるので大丈夫でしょう」。草津町の会社員山田春貴さん(30)は、仕事が休みのこの日、午前八時半ごろからスキーを滑り始めた。ただ「子どもも『滑りたい』と言ったが、何かあった時に守れるか分からないので一人で来た」と一抹の不安も口にした。

 数日前から同スキー場を訪れているという東京都江東区の女性(52)は「ここが閉鎖されていたら、軽井沢のスキー場に行く予定だった。(四年前の)御嶽山(おんたけさん)(長野・岐阜県)の噴火も記憶にあるので、慎重にはなっているが、ここまで噴石は飛んでこないだろう」と話した。

 同スキー場では、入山規制区域内にあり、噴火した本白根山の直近に位置する本白根ゲレンデと、規制区域のやや外に位置する青葉山ゲレンデは閉鎖されたまま。一方、規制区域外にあり、噴火地点から五キロほど離れた天狗山、御成山の二つのゲレンデで営業再開を決めたという。

 草津国際スキー場を運営する草津観光公社によると、二十三日夕方に黒岩信忠町長と協議したといい、長井英二社長は「(二つのゲレンデは)十分に安全だと判断した」と説明した。

 同スキー場は一九一四(大正三)年開業。四八(昭和二十三)年に国内初のスキーリフトが設置され、幼少時から練習に通っていた荻原健司さん、次晴さん兄弟(同町出身)が九〇年代の冬季五輪ノルディック複合で活躍するなど、国内スキー界の歴史に名を刻んできた。

 長井社長は安全性を強調したが、「風評被害は想像がつかない。スキーヤーは相当減るだろう」と懸念。「二月の三連休には一万五千人程度を見込んでいたが、残念だ」と話した。

 閉鎖されている本白根ゲレンデと青葉山ゲレンデの営業再開について「安全安心が一番大切。専門家の意見を聞いて今後のあり方を決めたい」と話した。

◆「水蒸気噴火」を少なくとも16回

 草津白根山は一八〇〇年代以降、マグマの上昇を伴わない「水蒸気噴火」を少なくとも十六回繰り返し、過去にも火砕物降下による死者が出ている。今回の噴火も気象庁は水蒸気噴火の可能性が高いとみている。

 草津白根山は白根山、本白根山などの総称。一帯は火山活動によって草津温泉をもたらす大量の地下水が広がり、水蒸気噴火は地下水がマグマの熱で高温、高圧となり、爆発的に噴き出したのが原因とみられる。

 過去の水蒸気噴火は白根山に近い火口湖の湯釜一帯で発生した場合が多い。しかし、今回は白根山から南へ約二キロの本白根山近くの鏡池付近で噴火したため、噴火の兆候をつかむのが遅れたと指摘されている。

 気象庁などによると、草津白根山で記録が残る最古の噴火による人的被害は一八九七年の水蒸気噴火。湯釜から噴火して百五十キロの巨石が九百メートル飛んだと伝わる。近くに硫黄鉱山もあり、硫黄製錬所の作業員ら二人が負傷したという。

 一九三二年の水蒸気噴火も湯釜などから噴火し、大小十数カ所の火口ができた。噴石によって硫黄採掘の作業員が二人死亡、七人が負傷した。

 八三年の水蒸気噴火も湯釜などから噴火し、人頭大の噴石が六百〜七百メートルの範囲に飛んだ。(菅原洋)

◆「下山させることだけ考えた」西部消防署・湯本署長 救助活動を振り返る

 草津国際スキー場で負傷者らの救助にあたった吾妻広域消防本部西部消防署の湯本完司署長(58)が二十四日、本紙の取材に応じ、救助活動を振り返った。

 湯本署長ら救助隊はスノーモービルや雪上車で山頂に向かい、取り残されていたスキー客約八十人を自衛隊のヘリやスノーモービルで約三時間かけて救助した。けがをしていない人はスキーで下りてもらうことも考えたが、ゲレンデコースは噴石によるものとみられる穴が開き、火山灰に覆われていたため断念したという。

 湯本署長は「噴火は(二〇一四年の)御嶽山の噴火ほどではないとは思っていたが、どれだけ大規模になるかわからなかった」と不安も感じながら「とにかくお客さんを下ろすことだけを考えていた」と語った。

 吾妻広域消防本部や県警などはこの日もゲレンデで捜索活動をした。行方不明者がいるとの情報は入っていないが、念のための確認という。捜索は午前十時から始まり、午前十時五十分ごろ火山性微動が観測されたため撤収するなど緊迫した場面もあった。(原田晋也)

◆周辺3支店に噴火 対応融資相談窓口

 草津白根山の噴火災害を受け、群馬銀行は二十四日、噴火の影響で売り上げが減少するなどして資金繰りに困った経営者らを対象に、周辺地域の三支店に噴火対応融資相談窓口を設置した。

 窓口を開設したのは草津支店(草津町)、嬬恋支店(嬬恋村)、長野原支店(長野原町)で平日午前九時〜午後五時に受け付ける。

 

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