東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 群馬 > 記事一覧 > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【群馬】

安中の新入学児に苗木贈り55年 シチズン賞に清水さん「いつしか生きがいに」

表彰式で感激した面持ちの清水さん=1月30日、東京都千代田区で

写真

 シチズン時計(東京)が、社会に感動を与える行動で新聞記事で紹介された市民を表彰する「シチズン・オブ・ザ・イヤー」の本年度の受賞者の一人に、昨年五月に本紙が取り上げた安中市の元県職員清水辰吉さん(90)が選ばれた。地元小学校の新一年生に毎年苗木を贈り続け、昨年春で五十五年になった活動が評価された。東京都内のホテルで一月三十日、表彰式があり、清水さんが涙ながらに喜びを語った。 (原田晋也、樋口聡)

 清水さんは一九六二年、長女の掲子さん(62)が小学校に入学した記念に、健やかな成長を願って自宅の庭にスモモ、モモ、ブドウの木三本を植樹した。「これは良い記念になる」と実感した清水さんは翌年の新一年生に広げ、毎年欠かさず苗木を贈り続けてきた。

 活動が半世紀以上にわたるため、木はその家の子どもとともに記念樹に成長、親子二代で苗木をもらって思い出を語り合う家庭もある。

 元NHKアナウンサーの山根基世選考委員長は講評で「五十五年という歳月は圧倒的な説得力を持っていて、委員みんなの意見が一致した」と明かした。

 清水さんはマイクの前で「毎年、校庭の桜が満開で迎えてくれる入学式の日、苗木を軽トラックに積んで登校する私自身がワクワクした気持ちになっている。いつしか私の生きがいになっていた」と振り返った。話すうちに体を震わせ、涙を流しながら「感謝されるから行う善行は本物ではないが、私もやはり人の子。保護者らから喜ばれることや賞は、何ものにも勝る名誉と喜びだ」と感謝の言葉を繰り返した。

 式に列席した掲子さんも「父のあんな姿を見るのは初めて。一生懸命やってきたことが取り上げられて良かった」と父親を見つめていた。足腰が悪く、家の中でもつえが手放せない妻のうた子さん(86)も、晴れの日の朝に赤飯を炊いて祝ってくれたという。

 地元の市立後閑小学校には四月に十四人が入学予定だ。今年も清水さんの自宅庭には仮植えされた苗木が入学式の日を待つ。清水さんは「今後も生ある限り続けたい」と意気込んでいる。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報