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【群馬】

朝鮮人追悼碑モチーフ 訴訟絡み撤去作品 渋川で4月から県内初展示へ

撤去させられた白川さんの作品(白川さん提供)

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 高崎市の県立公園「群馬の森」にある朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑をモチーフにした造形作品が4月21日から、渋川市のギャラリー「コンセプト スペース」で県内で初めて展示される。作品は昨年4月、同公園内の県立近代美術館で展示されようとしたが、県が追悼碑に関連する訴訟を係争中だったため、撤去された経緯がある。その際、「表現の自由」を巡って論議が起こった作品だけに、注目を集めそうだ。 (菅原洋、川田篤志)

 「撤去から一年になるのに合わせ、この問題をなし崩しにせず、追悼碑の意義を作品を通じて訴えたい」

 本紙の取材に、作品を制作した前橋市の美術作家、白川昌生(よしお)さん(70)は意欲を見せる。

 白川さんは北九州市で生まれ、パリで美術を学び、ドイツ・国立デュッセルドルフ美術大卒。県立女子大と前橋工科大で非常勤講師を務めている。

 今回の展示は「消された記憶」と題し、五月五日まで。この作品は二〇一五年に制作し、東京都や鳥取県で展示。今回は鳥取、長崎県にある戦争関連の慰霊碑類をモチーフにした作品二点と同時に出品する。

 朝鮮人の追悼碑は〇四年、碑を管理する市民団体「記憶 反省 そして友好」の追悼碑を守る会(前橋市)の前身団体が、県から碑の前で「政治的行事をしない」との設置許可条件を受けて建立した。

 訴訟は、追悼碑の前で開かれた慰霊行事で設置条件に反する政治的発言があったとして県が更新を不許可にしたため、守る会が一四年に処分の取り消しなどを求めた。前橋地裁は今月十四日の判決で、不許可処分は「社会通念に照らし著しく妥当性を欠く」などと判断して取り消したが、更新は認めなかった。

 白川さんは「追悼碑の先行き(更新)については判断しないという、中途半端な判決だった。あの碑は戦争の記憶として社会の中で共有されるように話し合って建立したのだから、踏み込んで更新を認めてほしかった」と感じている。

 判決では、守る会が政治的行事を規制した設置条件と、不許可の処分がそれぞれ「表現の自由を侵害している」と主張したのに対しては、「表現の自由といえども絶対無制約のものではない」などとして退けた。

 一方、昨年四月下旬に県立近代美術館で始まった企画展では開催日の直前に県側が追悼碑をモチーフにした白川さんの作品を展示しないと決め、白川さんに撤去させた。県側は当時、「今回の企画展は県の主催であり、展示品は主催者が選ぶべきものだ」と説明した。

 社会的なメッセージを込めた作品を県が一方的に撤去させたことで、「表現の自由」が議論された。

 今回の展示の観覧時間は午後一〜同六時。無料だが、事前予約が必要。問い合わせはギャラリー=電0279(24)5252=へ。

 

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